格闘技団体「DREAM」を主戦場にしていた元柔道日本代表で総合格闘家の秋山成勲(33)が、米国総合格闘技団体UFCに電撃移籍した。25日、UFCがホームページ上で秋山と契約したことを発表した。8月にもミドル級(77・1~83・9キロ)でデビューする見込み。秋山は近日中に都内で会見を行う予定。苦難の格闘人生を歩んできた柔道王が、最高峰の舞台に戦いの場を移す。

 電撃契約だった。今年1月にUFC側からオファーが届いて約2カ月。秋山側は電話で詳細を詰めて、24日に契約書にサインした。25日にUFCが公式ホームページで契約を発表。ダナ・ホワイト代表の「秋山を連れてくることに興奮している。ミドル級ですぐに活躍できると確信している」とのコメントを掲載した。UFC関係者によると、ミドル級での4試合契約を交わしたようで、初戦は今夏8月が有力だという。

 秋山は昨年11月に渡米。1人のファンとしてUFCを観戦した。そこで純粋に格闘技を楽しむ雰囲気に魅了された。1月にUFCから連絡がきたときには「自分ができるのか」という思いもあったが、「もう20代ではない。これが最後のチャンス」と決断したという。

 日本ではDREAMを主戦場にしてきたが、昨年9月に、大みそかの「Dynamite!!」で戦極のエース、吉田秀彦(39)との対戦を熱望した。団体の壁を越えた対戦要求に批判も出た。これに秋山は「格闘技界を盛り上げたいだけなのに」とがっかりしていたという。ある関係者は「(UFCが)盛り上げるには最高の場だと思っているのでは」と話した。

 今回の決断にDREAMの笹原イベントプロデューサー(EP)も「日本で活躍していた選手が(UFCで)なかなか結果を残せていないので頑張ってほしい」とエールを送った。K-1とDREAMを主催するFEGの谷川EPも「どこへ行っても大変な世界と思うが頑張ってください」とコメントした。

 昨年の「Dynamite!!」欠場決定後に表舞台から姿を消したが、打撃力が要求されるUFC参戦を視野に入れて、打撃練習を積んでいた。米国からも情報を発信するため、3月に公式ホームページを立ち上げる準備も進めている。UFC参戦は北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト石井慧も目指している。「先輩」と尊敬して慕ってくれる後輩より一足先に、秋山が最高峰の舞台に立つ。【浜本卓也】