吉田秀彦(40=吉田道場)が柔道着ファイトで有終の美を飾る。吉田は10日、都内で行われたBS朝日「勝負の瞬間(とき)」14日放送分(午後9時~)のインタビュー収録に参加した。4月25日に東京・日本武道館で行われる「吉田秀彦引退興行~ASTRA~」に向けて「最後は柔道着で試合をやる」と明かした。最近2試合はトランクスで試合に臨んでいたが、対戦相手に関係なく、総合格闘技のラスト舞台も柔道家であることを貫く決意だ。

 格闘技人生のラストは柔道家である原点に戻る。まだ対戦相手は決まっていない段階だが、既に吉田は柔道着を着用して戦うことを決めていた。「やっぱり(会場が)日本武道館だからね。最後は柔道着でやる」。柔道での引退試合となった02年4月29日、日本武道館で行われた全日本選手権を思い出しながら、柔道家として最後のリングに立つことを決断した。

 吉田は02年8月のホイス・グレイシー戦で総合格闘技のスタートを切った。柔道家としてのプライドを背負うために柔道着ファイトを続けてきたが、05年大みそかの小川戦で初めて柔道着を脱いで戦った。以後、対戦相手が柔道をバックボーンにする相手に対してはトランクスでファイト。最近2試合も柔道着は着用しなかった。パンチが出しにくいこともあり、柔道着は総合格闘技に不向きとされるが、吉田は「試合が(柔道)全日本選手権の4日前。前座じゃないけど、その全日本の前に柔道着でやりたい」と揺るぎはない。

 この日、吉田は自らの希望で柔道着姿のまま、スポーツライター二宮清純氏とのテレビ収録に臨んだ。まだ昨年大みそかDynamite!!の石井戦で痛めた右手小指の拳部分の腫れが残っており、本格的な打撃練習ができない。肉体は満身創痍(そうい)だが「確かに体のバランスが良くないといわれるけど次で引退なんだし。柔道の魂でバッと最後の力を出すよ」と、静かに闘争心を燃え上がらせていた。【藤中栄二】