24日に5度目の防衛戦を迎えるWBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃(34=帝拳)が、V6戦以降に3階級制覇王者で現WBC・WBO世界バンタム級王者フェルナンド・モンティエル(31=メキシコ)と防衛戦を行う計画が浮上した。22日に都内で行われた調印式後、帝拳ジムの本田明彦会長(63)が明かした。モンティエルは4月に長谷川穂積(真正)を4回TKOで撃破した強豪。西岡は最強挑戦者といわれる同級1位レンドール・ムンロー(30=英国)戦をクリアし、将来のビッグマッチ実現につなげる。

 西岡の未来の標的に浮上したのは、長谷川のV11を阻止したあの3階級制覇王者モンティエルだった。5度目の防衛戦2日前の調印式後、帝拳ジムの本田会長は「次はまだ考えていない。(V5戦は)そんな楽な試合ではない」と前置きしつつ、V6戦以降のプランについて「西岡が一番やりたいのはモンティエル。モンティエルは1階級上げたがっているから、将来の可能性は非常にある。メキシコでもいいって西岡は思っている」と発言。最強挑戦者ムンロー戦をクリアすれば「具体的に動く可能性もある」とも語った。

 モンティエルは事実上の“統一戦”といわれた4月の世界戦で来日し、長谷川の右あごを折る強打と高い技術で日本中に名をとどろかせた。現在は西岡より1階級下のバンタム級を主戦場にしており、来年2月には2階級制覇王者ドネア(フィリピン)戦を予定している。だが、長谷川戦後には「今後は4階級制覇を目指したい」と話して西岡をターゲットの一角に挙げていただけに、来春以降に実現の可能性はある。

 そんな長谷川の“敵討ち”にもなる未来のビッグマッチ実現には、ムンロー撃破が絶対条件となる。西岡は「次の試合がすべて。目の前を勝たないと次はない」と、これまで通りの一戦必勝のスタンスを貫いた。グローブチェックでも「いつも入念に選んでいます」と、感触を何度も確かめてから選ぶ慎重さを見せた。

 1970年のこの日、元WBA世界フライ級王者の故大場政夫さん(享年23)が帝拳ジムに初めて世界王座をもたらした。それから40年後、西岡は「帝拳の伝統ですからね」と、先輩たちと同じく計量前日を休養に充てた。「勝利は確信しています。素晴らしい試合を必ずします」。帝拳ジムに初めて世界王者が誕生したメモリアルデーに、西岡がV5達成で新たな道を切り開いていくと誓った。【浜本卓也】