<プロボクシング:WBA女子ミニマム級タイトルマッチ10回戦>◇5日◇大阪市ATCホール

 王者多田悦子(29=フュチュール)が“双子狩り”に成功した。昨年8月の初防衛戦で下したヤニの双子の姉である挑戦者アマラ・ゴーキャットジム(21=タイ)と対戦。1者がフルマーク採点の大差判定勝ちで4度目の防衛を果たした。過去2戦はドロー防衛で、3試合ぶりに勝利でベルトを守った。次戦は来年4月ごろに暫定王者イベス・サモラ(メキシコ)との王座統一戦を予定している。

 右だけで十分だった。多田は中盤、4月のV3戦で骨折した左手人さし指の痛みを再発。利き手を使えなくなった。それでも足で距離を置き、妹の敵討ちを狙って突進してくる挑戦者に右アッパーを浴びせた。打ち合いたい気持ちをこらえ、技巧に徹して効果的にポイントを連取した。

 「今まで少なかったアッパーが使えて戦術的にレベルアップした。これでまた防衛できそう」。6月中旬に左手指を手術。8月のジムワーク再開後、2カ月間は右だけで練習していた。多彩さが増したほか「今は右腕の方が太い」というほど、強化に成功していた。

 オーバーワークになりがちだった試合直前の練習量を減らした。加えて今回から体幹トレーニングを採用。「筋力がついた。肩幅が大きくなった」と自信を深めた上での勝利だった。【大池和幸】