読者が選ぶ「日刊バトル大賞」のプロレス部門MVPは、ノア杉浦貴(40)が初受賞した。昨年12月、潮崎豪から奪ったGHCヘビー級王座を年間で7度、防衛。7月の高山善広戦や9月の潮崎との再戦など、ベストバウト級の試合を戦い抜いた。それだけでなく、団体や業界の活性化を真剣に考え、行動を起こす姿勢でも存在感を示した。

 読者投票で杉浦は41%を獲得し、2位だった小島聡(フリー)の23%を大きく引き離した。朝夕刊スポーツ紙や専門誌の担当記者らが選出した「プロレス大賞」も受賞しており、2冠となった。「ファンからっていうのが何よりうれしい。専門家が見て1位でも、ファンが見て2位だったら、複雑な思いですから」。会場の歓声でしか測れない声がダイレクトに伝わったことに、喜びを感じていた。

 9月の潮崎戦の直後、マイクパフォーマンスで「(前社長の故)三沢(光晴)さんがいないノアは物足りないですか?」と客席のファンに問い掛けた。王者が最もスポットライトを浴びる場面で、あえて自分の存在意義を確かめる言葉を発した。王者であり、大黒柱として団体を引っ張る自覚の表れを、ファンも高く評価。「三沢さん亡き後のノアをよくけん引した」(50代男性)という意見が多かった。

 ノアからは、試合中の事故で死去した三沢さんに続く、2年連続受賞となった。「プロレス大賞もノアからは三沢さんと僕だけ。杉浦時代…宣言しちゃいましょうか?」。控えめな言葉だが、絶対の自信が込められているようにも聞こえた。【森本隆】