日本初の「飛び級世界2階級制覇」を達成した長谷川穂積(30=真正)が、読者が選ぶ「第15回日刊バトル大賞」ボクシング部門MVPに決まった。2年連続2度目の受賞。世界王座陥落、母の死去、そして2階級制覇…。激動の1年を締めくくった11月のブルゴス(メキシコ)戦が、年間最高試合にも選ばれた。

 MVP争いのライバルとみられた西岡利晃(帝拳)、内山高志(ワタナベ)を得票率で大きく引き離した。ボクシング部門が新設された昨年度と同じくダントツ。しかも年間最高試合との2冠獲得となった。長谷川は「非常に光栄でうれしく思う。また来年もいただけるように頑張ります」と喜んだ。

 濃密な1年だった。WBCバンタム級王者として臨んだ4月の11度目の防衛戦は、WBO(日本未公認)王者モンティエル(メキシコ)との“事実上の統一戦”にまさかの4回TKO負け。右あご骨折の重傷まで負った。その後リベンジの機会に恵まれず、2階級上のフェザー級に転級。WBC王座決定戦出場が決まった直後の10月末には最愛の母裕美子さん(享年55)が他界した。大きな悲しみを乗り越え、ブルゴスとの激闘を12回判定で制した。

 「いろいろあったけど、結果だけ見れば、ええ1年でした。王者として年を越せたことが何より」。結婚して子どもが生まれ、世界王者になった20代を全力で駆け抜けた。そして今月16日には30歳の誕生日を迎えた。「これからも1試合1試合を頑張っていくだけです」。

 まさに円熟期。ボクサー人生の第2章に突入した日本のエースは、これからもファンを楽しませてくれそうだ。【大池和幸】