「井岡家秘伝スープ」で国内最速7戦目での世界王者を目指す。元世界2階級王者・井岡弘樹氏のおいで、前日本ライトフライ級王者の井岡一翔(かずと・21=井岡)が11日、大阪市内で会見し世界初挑戦を発表した。1階級下げて、WBCミニマム級王者オーレドン・シッサマーチャイ(タイ)に2月11日、神戸ワールド記念ホールで対戦する。叔父が現役時代に飲んだ「秘伝スープ」で過酷な減量を克服し、悲願のベルトを巻く。

 戦いは既に始まっていた。グレーのスーツで会見に臨んだ一翔は、世界戦1カ月前というのに頬がこけ、引き締まった表情だった。念願の世界初挑戦は、ライトフライ級(リミット48・9キロ)から1階級下げたミニマム級(47・6キロ)。これまで経験のない過酷な減量を乗り越えなければ、道は開けない。日本最速となる7戦目での世界王者になるため、悲壮な決意があった。

 一翔

 15歳の時の体重に近い。落とせるかという怖さはあった。ライトフライ級の(世界戦)交渉がうまくいかなくて、でもどうしても7戦目でやりたかった。ミニマムまで落とすのは初めてですが、いつもより早く体重調整して勝つための練習をしていきたい。

 減量の秘策は「井岡家秘伝スープ」だ。弘樹氏の現役時代、減量苦の時に母美津子さんに作ってもらったスープを一翔も飲み始めた。牛ヒレ肉、にんにく、玉ネギなど20種以上の食材を圧力鍋で煮込んだ一品。現時点で通常時の56キロから51キロ近くまで絞った。残り1カ月でさらに約3・5キロ減らす計算。弘樹氏は「お母さんが(一翔の)家に行って、ボクも現役の時に飲んだものを作ってます。体脂肪率を1~2%まで絞る。減量で風邪をひいたら元も子もない」と明かした。

 プロ7戦目で新王者に立てば、辰吉丈一郎と名城信男の8戦目を抜いて国内最速記録を樹立する。ミニマム級は87年に弘樹氏が当時の最速となる9戦目で世界王者に立った階級なのも、何かの縁か。相手は40戦無敗。弘樹氏は「老練なので万全でいかないといけない」と警戒する。

 一翔

 強い相手の方が力が出る。自信はあります。ミニマムまで落としたのだから、3階級ではなく日本初の4階級も狙いたい。

 日本最速の先に、亀田興毅を抜く4階級制覇がある。一翔の野望は、果てしなく大きい。【益子浩一】