たたき上げの野性派が、頭脳派のアマ出身王者に挑む。WBA世界スーパーバンタム級6位下田昭文(26=帝拳)が、24日に都内のジムでスパーリングを公開した。31日に王者李冽理(28=横浜光)に世界初挑戦する。既に本格スパーは打ち上げ、この日は後輩相手に軽めに2回の予定が「初の晴れ舞台」に手抜きなしで動くままの熱いスパーとなった。

 下田は中3で何げなく帝拳ジムに入門した。特に運動経験もないが、プロデビューすると身体能力を発揮。07年には日本王座獲得も「センスだけでやってきた」と浜田代表は話す。08年に王座陥落してやっとやる気になった。今回は3週間試合が伸びたことでさらに集中して強化。「何でも対応できる自信がある。100%勝つ」と言うまでになった。

 李は徹底して足を使って王座を獲得した。50戦したアマ時代はブルファイターから作戦勝ちだった。下田はスピードと切れのいい左が持ち味。偵察した李陣営の石井会長代行も「野性的選手とはスパーしていない。序盤が鍵」と警戒する。葛西トレーナーは「作戦はなし。無意識に出るパンチで流れを変える。野に放つだけ」と、野性の勘でベルトを狙う。【河合香】