<プロボクシング:WBO世界ウエルター級タイトルマッチ12回戦>◇7日(日本時間8日)◇米ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデン◇1万6412人

 史上2人目の6階級制覇を達成したWBO世界ウエルター級王者マニー・パッキャオ(32=フィリピン)が、「伝説ボクサー対決」に圧勝した。元世界3階級制覇王者で同級3位のシェーン・モズリー(39=米国)と対戦。3回にダウンを奪うと、消極的になった挑戦者を最後まで連打で圧倒、3-0の大差判定で2度目の防衛に成功した。パッキャオの戦績は58戦53勝(38KO)3敗2分け。ファイトマネーの最低保障額はパッキャオが2000万ドル(約16億円)、モズリーは500万ドル(約4億円)だった。

 開始からパッキャオが試合を支配した。果敢に攻めて、3回には左強打でダウンを奪った。以降、防御を固めたモズリーを王者が打ち続ける展開が続いた。10回、モズリーに押し倒され、「ダウン」と判断したレフェリーからカウントを数えられる場面はあったが、その後も攻撃の手が緩むことはなかった。

 専守防衛の挑戦者に1万6412人の観客から大ブーイングが浴びせられた。それでもモズリーは戦略を変えなかった。それほどパッキャオのスピードと攻撃力は異次元だった。3人のジャッジの採点は119-108、120-108、120-107と大差がついた。「私はベストを尽くしたがモズリーは私のパワーを恐れて逃げ回ってばかりだった」と完勝にも王者は不満をもらした。

 6階級制覇を達成したパッキャオにとってこの一戦は世代を超えた「伝説」対決でもあった。挑戦者は90年代後半から00年代半ばまで、現在パッキャオが君臨する中量級で一時代を築いた。あの史上初の6階級制覇王者デラホーヤを2度も下し、3階級制覇を達成した。スピードと連打はいまだ衰えていない。戦前の予想はパッキャオ優位だったが、モズリーの底力を推す声も少なくなかった。

 完勝にもパッキャオは試合後、左足の状態がよくなかったことを明かし、「私のベストパフォーマンスではなかった。うまく攻め切れなかった」と反省も口に。この1試合で約16億円を稼いだアジアの英雄の次の標的には、過去1勝1分けのマルケスらが挙がっているが、もはやその存在を脅かす相手は見当たらない。