WBC世界ライト級11位の佐々木基樹(帝拳)が、日本人最高齢(35歳7カ月)での世界王座奪取を亡き祖父にささげる。25日(日本時間26日)、メキシコ・コスメルで同級王者ウンベルト・ソト(31=メキシコ)に挑戦する。3月11日の東日本大震災の影響で、4月22日に秋田・横手市に住んでいた祖父善之助さんが死去(享年87)。「墓前にベルトをささげる」との思いを胸に世界3階級制覇王者に挑む。24日(同25日)には前日計量に臨み、61・0キロで一発パスした。

 コスメル市内のホテルで行われた前日計量に、佐々木は引き締まった表情で姿をみせた。王者ソトとともに200グラムアンダーの61・0キロでパス。97年のデビュー当時以来約14年ぶりのライト級の減量に成功し「水分を補給して体が落ち着くまで休みます。あとは明日、やるだけです」と強い決意をにじませた。

 東洋太平洋スーパーライト級王座の2度目の防衛に成功した2日後の4月22日、秋田・横手市内の老人ホームで、低体温症が原因で祖父善之助さんが他界した。3月11日の東日本大震災の影響による停電で治療を受けられずに体温が30度近くまで低下。佐々木は防衛戦後に病状の悪化を知らされた。

 佐々木

 試合が終わるまで親が病状を黙っていて…。何かと良くしてくれたおじいちゃんでしたからベルトをささげたい。それが、最高のおじいちゃん孝行になる。

 王座奪取すれば06年1月に越本隆志がWBCフェザー級王座を奪取した35歳0カ月を7カ月も更新。日本人の海外での世界挑戦失敗も30連敗で止まる。試合当日が降雨予報のため、会場が急きょ屋外から屋内に変更されたが、佐々木の気持ちは揺るがない。「メキシコから王座を持ち帰り、墓前に報告したい」。大きな使命感を胸に、自身2度目の世界戦リングに立つ。