ボクシングWBC世界ミニマム級王者の井岡一翔(22=井岡)がKO防衛で国内初の快挙を達成する。5日、大阪市内で初防衛戦(10日)に向けた予備検診に出席。KO奪取で国内最速記録(7戦目)を樹立した2月に比べ、胸囲1センチ増など成長を数値で示した。今回挑戦者エルナンデス(24)をKOなら、国内ミニマム級世界戦では史上初の2連続KO勝利。元世界王者・井岡弘樹氏のおいが、KOが困難とされる最軽量級で強さを見せつける。

 井岡は風邪予防のためマスク姿で会場に現れた。半パンにサンダル履きと、リラックスムード。エルナンデスとは東西分かれた検診のため、恒例の初顔合わせは上京後までお預け。それでも井岡は「リングの上でどっちが強いか証明するだけ。向き合ったら分かる」と、静かな口調の中に強い自信をみなぎらせた。

 2月の試合より胸囲は1センチ、胸厚は1・5センチ増加した。ともにパンチ力に比例する要素。さらに父一法トレーナーは「パンチの切れやコンビネーションに磨きがかかった」と証言した。「150年に1人の天才」大橋秀行も、技巧派王者の新井田豊も、叔父の井岡弘樹もできなかったミニマム級世界戦2連続KO勝利の期待が膨らんできた。

 当然、階級が下に行くほどKOは難しくなる。大橋氏(大橋ジム会長=本紙評論家)はミニマム級でKOできるポイントとして(1)カウンターが取れる(2)ボディーブローがうまい、の2点を掲げた。その上で「井岡君は2つとも持っている。だから今回もKOできるのでは」と予想した。

 40戦無敗の王者オーレドンを破り、初防衛戦にはKO率約7割を誇るランキング1位の指名挑戦者を迎える。その2人をKOしての「叔父超え」なら、その記録の価値はいっそう高まりそうだ。【大池和幸】