日本ボクシング界が「打倒紅白」を目指す。トリプル世界戦(日刊スポーツ後援)が12月31日、東京・大田区総合体育館で開催されることが19日、発表された。WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(32=ワタナベ)の王座統一戦&V6戦、WBC世界スーパーフライ級王者の佐藤洋太(28=協栄)の2度目の防衛戦など3つの世界戦をテレビ東京系列が中継する。TBS系列もWBA世界ミニマム級2位宮崎亮(24=井岡)の世界挑戦を発表。1日4試合の世界戦は史上初で、ボクシング界が総力を挙げてNHKの紅白歌合戦に対抗する。

 2012年はプロボクシングで締める。トリプル世界戦を発表したテレビ東京は、TBSとともに2年連続で、大みそかにボクシングを中継する。TBSの宮崎の世界挑戦を含めると、史上初の1日4試合の世界戦が、大みそかに開催される。内山の所属するワタナベジムの渡辺均会長は「紅白に負けないように盛り上げたい」と「打倒紅白」を宣言した。

 昨年大みそかも内山は暫定王者ホルヘ・ソリスと統一戦&V4戦を敢行。11回に鮮やかな左フックでTKO勝利を飾った。KOの瞬間の視聴率は紅白歌合戦の時間帯では、民放第2位の6%を記録。内山は「他の日本人選手に負けないような試合をしたい。とにかく圧勝しないといけない」と力を込めた。来年にはWBC王者粟生隆寛(28)との世界団体王座統一戦も期待されるだけに、高視聴率にもつながる豪快KOを狙う。

 大みそかは00年以降、格闘技の祭典が「打倒紅白」を掲げて話題を独占してきた。しかし06年にフジテレビのPRIDE中継撤退以後、徐々に格闘技界が失速。K-1も10年限りで大みそかから撤退した。日本プロボクシング協会の大橋秀行会長は「数年前までは他の格闘技がうらやましかった。2年連続で大みそかにボクシング中継がされることは万々歳で夢のよう」と話した。

 今年は井岡VS八重樫の日本人初の世界団体王座統一戦が実現し、アマではロンドン五輪で村田が日本人として48年ぶりの金メダルを獲得。13日にはWBC世界スーパーバンタム級名誉王者の西岡が米国で世界4階級制覇王者ドネアとのスーパーファイトを実現させた。「打倒紅白に貢献できるように頑張る」と内山。ボクシングが盛り上がった1年は、大みそかの4大世界戦が締めくくる。【田口潤】