9日に引退表明したノアの小橋建太(45)が12日、日本全国のファンに対し“お別れチョップツアー”を行う意向を明かした。この日、東京・有明のノア道場で2時間半のトレーニング後に「全国のファンに直接、別れを告げたい。希望があれば、ファンにチョップもしたい」と話した。

 小橋が全国のファンに必殺の逆水平チョップを打ち込む。「引退試合は1試合だけど、その前に日本各地のファンに握手やサインをしながら直接、お別れとお礼を言いたい」。北海道、東北、関東、東海…と、各地方を回って“お別れチョップ”を打ち込んでいく。「全部の県を回りたいけど、それは不可能。でも、遠くから引退試合に来るのは大変だから、各地方ごとにお別れがしたい」と話す。

 小橋の代名詞の逆水平チョップは、GHCヘビー級王座13連続防衛を果たし絶対王者と呼ばれた強さの原動力。IGFアントニオ猪木会長(69)の闘魂ビンタのように、小橋のお別れ水平チョップもファンの間で大人気になるのは間違いない。「希望があればチョップもするけど、大丈夫かな」。本気のマシンガンチョップは危険だが、感謝の気持ちを込めたチョップならば、ファンも喜んで受けてくれるはずだ。

 もともとは全国のファンの前で試合をして、別れを考えていた。小橋は「かつてのファンを呼んで、プロレスから離れていた人が今の若い選手たちの試合を見てくれればと。ファンの拡大にもつながるしね」と言った。だが、昨年7月に頸椎(けいつい)の手術をして悩み、引退試合は1試合と苦渋の決断を下した。

 「今年はノアと選手契約があるけど、来年以降はこれから話し合い。試合がなくて握手やサインだけじゃ人が集まらない。もしフリーになったらリングで戦ったことがある新日本と全日本からオファーがあれば、あいさつや握手のために訪れたい」と、具体的な方法にも触れた。

 頸椎と8月に割れた骨盤の検査を年明けに受けてから、引退試合について判断する。「まだ受け身練習の許可を医師からもらってない。半年をめどに検査してからじゃないと、何とも言えない」。

 場所については「一番愛着があるのは日本武道館」と即答。03年3月1日に故三沢光晴さん(享年46)からGHC王座を奪取、13連続防衛のうちの6回を戦い、05年3月5日に力皇猛に敗れて王座を降りた思い出の地を候補に挙げた。【小谷野俊哉】<小橋建太のチョップ>

 ▼逆水平チョップ

 小橋の代名詞。05年7月18日の東京ドームの佐々木健介戦では、小橋120発、佐々木93発が繰り出された。

 ▼マシンガンチョップ

 相手をコーナーに押し込み、スピードを上げながら連続で打ち込む逆水平。

 ▼大根斬りチョップ

 相手を背骨折りの体勢にとらえ、のど元、胸に打ち下ろす。

 ▼青春の一撃

 両手を合わせ相手の肩口に斜めにダブルチョップ。

 ▼ローリングチョップ

 回転して相手の首筋へ。