激闘王になれ!!

 WBC世界フライ級王者の八重樫東(30=大橋)が、師匠から打撃戦の好勝負を求められた。同級10位オスカル・ブランケット(28=メキシコ)との初防衛戦を控えた10日、都内で調印式に出席。パンチ力十分の挑戦者だが、大橋秀行会長(48)から顔を腫らしながら殴り合う激闘を期待された。

 腹は決まっている。調印式のインタビューで「激闘王」と紹介された八重樫は「今回は自分のボクシングを貫いた上で」と前置きしながらも、最後は「良い試合ができればいいと思います」と打撃戦を示唆した。昨年6月、井岡一翔との2団体王座統一戦で世界戦で両目を腫らしながら打撃戦を展開。激しいファイトで知名度を上げてきた。その弟子の気持ちを、大橋会長が代弁した。「八重樫の性格上、打ち合いになると思います」。

 同会長は現役時代の92年10月、WBA世界ミニマム級王者の崔熙庸(韓国)と激闘を展開し、額を大きく腫らしながら12回を戦って判定勝ちをもぎ取った。日本を沸かせた壮絶な戦いを振り返り「まさに激闘王の継承です」と期待。32勝中23KOという強打の挑戦者のパンチを警戒し、逃げてばかりでは盛り上がらない。あえて八重樫に殴り合いでのV1防衛を指令した。

 必勝鉢巻きを頭に巻いて調印式に登場したブランケットから「あなたの在位期間はあと2日。2日を楽しんでください」と挑発された。八重樫は「2日間、精いっぱい楽しみます。ゲームをやる」と受け流しながら、静かに燃える。勝負はリング。激闘王にふさわしいファイトで殴り勝つ腹積もりだ。【藤中栄二】