日本ボクシングコミッション(JBC)は7日、都内で会見を行い、亀田ジムの吉井慎次会長と嶋聡マネジャーの14年のライセンス更新を認めないとする処分を発表した。IBF世界スーパーフライ級王者・亀田大毅(亀田)が昨年12月の統一戦で敗れながら王座を保持した問題で混乱を招いたことなどが理由で、事実上の資格剥奪となる。ジムは活動停止となり、亀田3兄弟は国内で試合をすることが困難な状況となった。

 大毅の「負けても王者」騒動から約2カ月。JBCが結論を出した。都内で会見を行った秋山弘志理事長は吉井会長と嶋マネジャーのライセンス更新を認めないと発表。処分の理由を「ファンなど多くの人々からボクシングの公平性を疑われ、JBCの信用が傷つけられた。職責を果たしていない」と説明した。

 昨年12月の大毅の統一戦では、対戦相手が体重超過で失格となった。IBF側は試合前日の会見で、「大毅が敗れた場合は王座は空位」と発表したが、試合後に見解を一転させた。JBCは、亀田陣営が勝敗に関係なく王座にとどまることを知っていながら事前に報告せず、公表もしなかった点を問題視。浦谷信彰事務局長代行は「ボクシングのスポーツという本当の意味が失われる重大なことで今回の処分になった」と話した。

 秋山理事長は、亀田ジムの運営についても厳しく言及した。「JBCライセンスを有しない人物が、実質的なクラブオーナーである」と、10年の処分で事実上の永久追放となった3兄弟の父史郎氏が、現在も大きな影響力を持っていると暗に指摘。「ガバナンス(統治)が不健全で(ジムが)機能していない。会長は会長の権限がある人でなければならない」とし、「プロボクシングがビジネスの要素を持つことは否定できないが、信義誠実な方法で行わなくてはならない」と厳しい言葉を続けた。

 JBCによると00年以降に科された処分51件のうち亀田絡みは6件目。「ライセンスの更新をしない」という処分は今回が初めて。ライセンスの有効期間は1年で特別な事情がない限り翌年への更新は許可される。吉井、嶋両氏のライセンスは昨年末で期限が切れ、未更新状態だった。浦谷事務局長代行は「過去と同じ処分では、人を変えただけなどの表面的な対応の繰り返しになる。実質的なところが変わらない限り、更新はできない」と、仮に新たな会長の申請があっても簡単には認めない方針だ。

 亀田ジム代理人の北村晴男弁護士はJBCに再審議を要請した上で処分が覆らない場合は無効を求めて提訴する意向を示している。<JBCが出した過去の亀田絡み処分>

 ◆厳重注意(06年10月12日付)

 06年9月27日の大毅-サンチェス戦で、観客の小競り合いが起きた。仲裁に入ろうとした史郎氏を「誤解される言動もあった」として処分。

 ◆厳重注意(07年4月16日付)

 07年3月24日の興毅-モラレス戦で、史郎氏がレフェリーの浦谷氏に暴言を吐いたとして処分。

 ◆ライセンス無期限停止など(07年10月15日付)

 07年10月11日の大毅-内藤戦で、大毅が度重なる反則行為を行い、セコンドの史郎氏と興毅が不適切な指示を出したとして処分。史郎氏はセコンドライセンスの無期限停止、興毅は厳重戒告、大毅はボクサーライセンス1年間停止。

 ◆取り消しなど(10年4月13日付)

 10年3月27日の興毅-ポンサクレック戦で興毅の判定負け後に、JBC関係者を控室に呼び出しどう喝したとして史郎氏にセコンドライセンス取り消しの処分。五十嵐会長はクラブオーナー、プロモーターライセンス無期限停止。

 ◆厳重注意(13年10月2日付)

 13年9月3日の大毅-ゲレーロ戦で、当日計量の時間を事前に通告せずに変更したとして嶋マネジャーと吉井会長を処分。