来月5日にWBC世界フライ級王者八重樫東(31=大橋)に挑戦する、元2階級制覇王者で同級1位のローマン・ゴンサレス(27=帝拳、ニカラグア)が18日、成田空港着の航空機で来日した。12年11月以来の世界戦で、母国の英雄アレクシス・アルゲリョに並ぶ3階級制覇を目指す。堂々のKO宣言も飛び出すなど、無敗の「怪物」が王座奪取に絶対的な自信をみせた。

 強気な言葉と柔らかな表情から、ゴンサレスの固い決意がにじみ出た。報道陣に自身の写真がプリントされたキーホルダーを手渡すなどリラックスムードも、試合について聞かれると表情は一変。「ヤエガシはスピードもパンチもあり、タフな試合になると思うが、KOするために来た。ニカラグア国民のためにも必ず勝つ」と力を込めた。

 39戦全勝で、軽量級では驚異のKO率(約85%)を誇る。10年までに2階級制覇を達成するなど、圧倒的な攻撃技術を武器に近年の軽量級で「最強」と称されてきた。だが、その後はトップ級の選手から何度も対戦を避けられるなど、もどかしい日々が続いた。

 3階級制覇へのチャンスは、日本人王者の勇気から舞い込んだ。4月にV3戦を控えた八重樫が、戦前の会見で「勝てばV4戦でロマゴンの挑戦を受ける」と明言。ゴンサレス自身も、八重樫への感謝を口にするとともに、強い覚悟で今回の一戦に向けた調整を続けてきた。

 8度目の来日は「日本の気候に慣れるため」と、これまでより10日近くも早い。関係者によると、現地では「すでに90%の仕上がり」という報道もなされるなど、準備に余念はない。「十分な練習が出来ている。今までの試合以上にスピードを乗せたパンチを出していく」と言い切った。

 今後は元東洋太平洋同級王者ロッキー・フェンテス(フィリピン)らをスパーリング相手に、最後の調整に入る。【奥山将志】

 ◆ローマン・ゴンサレス

 1987年6月17日、ニカラグア・マナグア出身。元WBA世界ミニマム級、同ライトフライ級王者。今年1月に、フライ級に転向し3階級制覇を目指すため王座返上。愛称「ロマゴン」。身長160センチの右ボクサーファイター。