<プロボクシング:WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦>◇22日◇横浜国際プール

 WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司(30=帝拳)が、同級1位の指名挑戦者エドガル・プエルタ(32=メキシコ)を6回2分15秒でTKO勝ちし、3度目の防衛に成功した。1回に左フックでダウンを奪うと、6回に連打を集めたところでレフェリーが止めた。陣営は、11年に敗れたWBA世界同級王者内山高志(ワタナベ)の大みそかのV9戦の結果を待ち、今後の統一戦実現に向けて交渉する方針だ。

 相手をなぎ倒す強打が武器の三浦が、切れ味鋭い左ストレートで決めた。6回、それまでのボディーへのダメージで口が開いてきたプエルタから、カウンター一撃で戦意を奪い取った。しなるように伸びた左腕が、クロス気味に顔面に突き刺さった。ダウンこそ逃したが、挑戦者はロープ際まで吹っ飛び、立っているのがやっと。一気に左右の連打を浴びせ、勝利をつかんだ。

 プロ最長のブランクとなる約11カ月ぶりの試合。「一撃で倒すパンチを打ちたい」とテーマを掲げリングに上がった。11年に帝拳に移籍し西岡利晃、山中慎介ら世界を取った同じサウスポー選手のパンチを食い入るように研究した。持ち前の豪打に、切れとスピードを加える-。V3戦で、努力を1つの形として表すと「なぎ倒すパンチから、スピードとキレのあるパンチになってきた。今後は使い分けていきたい」と手応えを実感した。

 大きな刺激も得た。10月中旬に第2子となる長女莉禾(りんか)ちゃんが誕生。ボクシングに集中するため都内で「単身赴任」を続ける三浦は、出産に合わせて家族が暮らす秋田から長男の武元(たけはる)君を預かった。ヒーローショーを見に行くなど、久しぶりの親子水入らずの時間を堪能し「家族のためにも負けられない思いは強くなった」。ベルトを守り抜くと、リング上で愛息を誇らしげに抱きかかえた。

 陣営は、11年の世界戦で敗れたWBA同級王者内山高志との団体王座統一戦を視野に、次戦の交渉を進めていく方針だ。本田明彦会長は、三浦の戦いぶりを評価した上で「向こうが良い形になって(防衛して)からだが、内山君も海外に行くか、三浦とやるかしかない」と話した。

 三浦自身も雪辱への思いは強い。「あの試合で負けて、一度どん底まで落ちた。自分が強くなれた原動力だし、やるチャンスがあればぜひやりたい」と力を込めた。15年のさらなる飛躍を予感させる戦いで、強烈に存在感を示した。【奥山将志】