元世界2階級王者の井岡一翔(25=井岡)が「直感力とスピード」で、来年の3階級制覇再挑戦へ弾みをつける。元WBA世界フライ級暫定王者ジャン・ピエロ・ペレス(33)と争う大みそかのノンタイトル同級10回戦へ向けて24日、大阪市内のジムで練習を公開。調整は順調で「実力の差を見せつけて、KOで終わらせたい」と圧勝宣言した。

 再び輝きを取り戻すために、井岡がまずは頭の中を整理した。4年連続の大みそか決戦。今年はノンタイトルになったが、来年の世界3階級制覇再挑戦へ向けて、重要な前哨戦。テーマは「考える前に打つ」だ。

 「いろいろ経験することで邪魔な考えや感覚が出てきた。でも、ボクシングももとを正せば、どつきあい。体の南京錠を1個1個解除したい」。思考が複雑になると同時に体の動きが鈍っていたことを反省、今回はシンプルに殴り勝つ。

 そのためには、直感力とスピードが大事になる。「考えてたら動きが遅くなる。感じることを重視したい」と、頭より体中の五感を働かせる。さらに「1回からハイテンポで動く体にしていく。雑にならず、精度を落とさずスピードを上げていきたい」と、素早いパンチで元WBA世界フライ級暫定王者ペレスをほんろうするつもりだ。

 5月にプロ初黒星を喫して3階級制覇に失敗。9月の再起戦では判定勝ちしたが、不満が残る1年だった。「悔しい年、プロで初めて負けて嫌な年だったし、何やったんやろうなと思う」。そんな無念の思いも、すべて拳に詰め込む。

 勝てば、来春にもWBA世界フライ級王者レベコに挑戦する可能性が高まってくる。トレーナーの父一法会長は「中身の濃い試合をしてほしい」と期待。この日のスパーリングで軽快な動きを見せた井岡も「実力の差を見せつけて、KOで終わらせたい。しっかりと僕の拳の舞を見せたい」と自信たっぷり。強豪ひしめく世界フライ級戦線へ、圧勝で再び名乗りを上げる。【木村有三】