<プロボクシング:フライ級ノンタイトル10回戦>◇22日◇千葉・幕張メッセ国際展示場第2ホール◇観衆2500人

 「独り立ち初戦」は不完全燃焼に終わった。WBA世界フライ級1位の亀田興毅(21=協栄)が238日ぶりに復帰戦を行い、WBO(日本未公認)世界ライトフライ級2位レクソン・フローレス(25=フィリピン)に3-0の大差判定勝ちを収めた。父史郎氏から離れての初戦は、ジャッジ3人がフルマークをつける一方的な展開だったが、最後まで仕留め切れず、本人も「納得いかへん」。年内の2階級制覇に向け、さらなる進化を誓った。

 マイクを向けられた亀田は、腰に手をあてたまま、首をかしげた。採点はジャッジ3者ともフルマークの完勝。無傷の17連勝にも、内容に満足できない。「変な試合をしてもうた。お客さんに申し訳ない。悔しいな」。リング上で謝罪の言葉まで口にした。

 自己最長の約8カ月のブランクが影響した。初回1分50秒すぎにショートの左フックでダウンを奪ったが、最後まで仕留めることができなかった。得意の左カウンターでポイントは重ねるが、練習した右アッパーは空を切る。単調なリズムは変わらず、KOを逃して終了ゴングを聞いた。「1ラウンドから硬いままズルズルいった」。自己採点を聞かれると「1点もない。0・5点や」。表情は厳しかった。

 精神的支柱だった父史郎氏が無期限ライセンス停止で初めてセコンドにいなかった。「それはあんまり関係ない」と強がってみせたが、試合中はリングサイドから聞こえる史郎氏の声を、耳で探していた。「おやじの声はよう通るわ。やっぱり励みになるな」。募る不安を必死に打ち消そうとしていた。

 「ボクシングに集中できる環境が欲しいな」と本音ももらした。昨年10月の弟大毅(19)の反則騒動直後には、身から出たサビとはいえ、自宅から出られない日々が続いた。屋外でのロードワークができず、ランニングマシンを購入して練習不足を補った。自粛期間には韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」を見た。さまざまな困難を乗り越え、医者として成功する主人公に自らを重ねた。

 一方で注目される因縁対決について、初めて踏み込んだ発言も出た。WBC王者内藤大助(宮田)が標的かと聞かれ「実際にはそうなるな」。今後1、2戦を消化して、年内に2階級制覇という青写真を描く。「まだまだ練習が足りへんわ。勉強や」。父離れして、生まれ変わった姿を見せるのはこれからだ。【大池和幸】