<プロボクシング:ノンタイトル10回戦>◇12日(日本時間13日)◇メキシコ・エルモシージョ

 【エルモシージョ(メキシコ)12日(日本時間13日)オルランド・ソト通信員】WBA世界フライ級1位の亀田興毅(21)が海外デビュー戦を豪快なKO勝利で飾った。マリノ・モンティエル(27=メキシコ)と対戦。2回に左ボディーフックで3度のダウンを奪い、同回1分54秒TKO勝ち。5月に協栄ジムから離脱し、メキシコでの再起戦も2度消滅。苦難を乗り越えて約4カ月ぶりの実戦で結果を出した。次戦も8月30日にメキシコで行う予定。亀田の戦績は18勝(12KO)。

 リングに上がれる喜びが、体中にあふれていた。亀田は初回から軽快なフットワークを使って、モンティエルの顔面に左右のフックを的確に当てた。2回には左ボディーフックでたて続けに3度のダウンを奪った。昨年5月のオガー戦以来のTKO勝利で海外デビュー戦を飾った。

 対戦相手は2年以上も白星から見放されていた。しかし、「初めての海外試合。どんな相手でも油断はできなかった」(亀田)。これまではダウンを奪った後、ただがむしゃらに前進していた。だが、この日は相手を冷静に見て、上下のコンビネーションを使いながら、最後は3度目の左ボディーフックで仕留めた。精神面でも進化を見せた。

 5月に協栄ジムからの離脱が決まった。メキシコに拠点を置いたが、2度も決まりかけた試合が消滅。海外でのボクシング生活の難しさを痛感したが、腐ることはなかった。強い練習パートナーを求め、メキシコ国内を飛行機で移動。北部のロスモチスではWBO(日本未公認)世界スーパーフライ級王者フェルナンド・モンティエルともスパーリングを積んできた。

 この日はメキシコでプロデビューの可能性もある三男和毅の17歳の誕生日。昨年から同国でアマチュア大会に出場する弟の成長を、大きな励みにしてきただけに、KO勝利を誕生日プレゼントにするつもりだった。次戦も8月30日にメキシコで予定している。将来的にはWBA王者坂田健史、WBC王者内藤大助への挑戦も期待される。「チャンスがあれば、対戦できる王者と戦いたい」。亀田が逆境から再スタートを切った。