<プロボクシング:ノンタイトル10回戦>◇5日◇東京・ディファ有明

 JBC(日本ボクシングコミッション)から無期限のセコンドライセンス停止処分を受けている亀田三兄弟の父史郎氏(44)の処分が、解除される可能性が出てきた。WBA世界フライ級1位亀田興毅(22=亀田)は、ウンベルト・プール(メキシコ)との世界前哨戦で5回2分29秒KO勝ちを収め、リング上で史郎氏の復帰を認めてほしいと発言した。これに対してJBCは、処分から2年が経過した来月には、処分解除の申請ができると指摘。解除手続きの進行次第では、11月開催が有力視されるWBC同級王者内藤大助(35=宮田)と興毅との大一番で、セコンド復帰が実現する。

 世界前哨戦で快勝した興毅はリング上からマイクを通してJBCに訴えた。「(07年10月の内藤と)大毅の世界戦からずっと、おやじがセコンドについていないので、おれらが王者になって復帰できるように、ボクシングコミッションの方、よろしくお願いします」。目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 史郎氏は07年10月15日、同11日のWBC世界フライ級タイトルマッチ(内藤-大毅)で、大毅が反則を起こした責任などを問われ、無期限のセコンドライセンス停止処分を受けている。この日の興毅の発言は、10月6日にWBA世界フライ級王座に挑戦する次男の大毅とともに兄弟で世界王者になった暁には“温情”で処分を解除してもらえないか、という趣旨だったが、興毅の世界前哨戦にも立ち会ったJBC安河内事務局長は「温情は関係なく、正規の手続きでやってほしい」と話した。

 JBCの懲罰規定によると「ライセンス無期限停止の処分を受けた当事者は、処分開始日から2年を経過した後、解除の申請を行うことができる」とある。つまり、史郎氏の処分解除を求める申請が可能になるまであと約1カ月。実際の申請を受けてから開かれる倫理委員会の審議の進み具合次第では、11月に計画される内藤-興毅の世界戦で、史郎氏がセコンドで復帰する可能性が出てくる。

 史郎氏は興毅の試合後「(復帰は)何よりも亀田家の希望やしな。でも(興毅が)言うとは思ってなかったな。必要とされてるってことやろ」と話した。史郎氏の復帰は、興毅が「運命」と位置付ける内藤戦に間に合うのだろうか。【浜本卓也】