無期限活動停止となった亀田ジムから東日本ボクシング協会預かりとなった亀田興毅(23)大毅(21)和毅(18)の3兄弟それぞれの練習受け入れ先が、16日までに渡嘉敷、セレス、ワールドスポーツの3ジムに内定した。何かと話題になる兄弟だけに、受け入れを了承したとはいえ各ジムの反応は三者三様。元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男会長(49)は「ジムのお手本にする」と大歓迎したが、残る2ジムの会長は「練習場所を提供するだけ」と困惑気味。同協会はこの日、練習先選定は選手に一任すると発表した。

 内定段階とはいえ、渡嘉敷会長は亀田3兄弟の受け入れを大歓迎した。「(現役時代の)僕は具志堅さん(用高)という見本があった。うちのジムは見本がいない。亀田君はすごい練習をする。いい練習を見せてあげたい」とジムの練習生への相乗効果を期待した。

 数日前、同協会の大橋会長から打診があったという。亀田3兄弟とは愛弟子の山口がスパーリングに出げいこに訪れるなど、面識は多少あった。「(同協会には)『いいよ。何かあったら(ジムを)貸すよ』って言ってある。彼らには何の非もないし、純粋にボクシングをしたいという彼らを見捨てたくはない」と前向きに了承した。

 現時点でジムを練習場所として提供することは内定しているが、指導や試合については未定。それでも渡嘉敷会長の話は一気に膨らんだ。「できれば日本、東洋太平洋で強い日本人とタイトルをやらせたい。そうすれば亀田は強いんだって分かる。協会預かりなら(試合を)義務づけた方が面白いんじゃないか。移籍?

 どうせ受け入れるなら面白い」と熱弁。最後に「(自分に)その権利があるのかな?

 ただジムを貸してくださいってだけならできないしね」と苦笑いした。

 まだ誰が練習に来るかは決まっておらず、選択権は3兄弟にある。渡嘉敷会長が熱烈ラブコールを送ったのが長男興毅だった。「練習するだけなら誰でもいい」と前置きしたうえで「誰かとあえて言えば…。2階級制覇した興毅君の技術、鍛え方は勉強になることがいっぱいある」。一方で「守りに入っている。ポイントで勝とうというのでは強引な亀田の良さがでない。傷ついてもダウンしても向かっていく亀田を見せられたら」と注文も付けた。

 「いつでも来い。ただ礼儀は守ってもらう。行くところがなければうちに来いってね」。おなじみの笑顔で、3兄弟の救世主に名乗りを上げた。【浜本卓也】