WBCが来年からビデオ裁定導入へ

 【カンクン(メキシコ)14日(日本時間15日)=田口潤】WBCが来年の世界戦から、ボクシングでは史上初のビデオ裁定を導入することが分かった。15日に現地で行われるWBC世界フェザー級王者ホルヘ・リナレス-同級1位ガマリエル・ディアス戦で、テストケースとして初めて採用される。反則行為やバッティングとヒッティングの見極めなどを映像で確認する。最近はビデオ判定を導入する、ほかのスポーツも増え、ボクシング界でも正確なジャッジを求める声が高まっていた。

 バッティング(頭と頭がぶつかること)で勝敗への興味がそがれることが、なくなるかも知れない。ボクシングでは初のビデオ裁定導入の狙いについて、WBCのマウリシオ・スレイマン事務局長(37)は「反則も含め、際どいジャッジは多い。ビデオを参考にして、公正な裁定をしていく」と説明した。

 もともと、ボクサーの一瞬の動きを1人のレフェリーがパーフェクトに判断することは難しい。バッティングが故意なのか、偶然なのか。負傷がバッティングなのか、ヒッティングによるものか。ダウンなのか、スリップダウンなのか。1つのジャッジが勝負を大きく左右するだけに、これまで微妙なジャッジが出るたびに不満の声がWBCに集まっていた。

 近年NFL、NBA、テニスと、世界のプロスポーツが続々とビデオの活用を開始した。WBC内部でもビデオ裁定導入を求める声は年を追うごとに高まり、時機到来として来年からの導入を決断。ビデオ裁定がレフェリーの絶対性を揺るがすとの声もあったが、何よりもまず正確なジャッジを優先した。

 リナレスの世界戦が、来年の正式導入に向けたテストケースになる。ビデオモニターはコミッション席に置かれる。ジャッジに疑問の声が出た場合、ラウンドのインターバル中の1分間に、映像を再生。WBCのスーパーバイザーが最終的な判断を下す。

 WBCは昨年から4回、8回終了後に採点を公開するオープンスコアリングシステムを導入した。今度はビデオ活用で公正さをさらに高める。[2007年12月16日8時34分

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