来年の大相撲初場所で新関脇昇進が濃厚な小結嘉風(33=尾車)が1日、21年ぶりに開かれた大分県佐伯市での地元巡業で、最高の恩返しをした。

 朝から握手会や佐伯警察署の一日署長に奔走。稽古では横綱日馬富士に胸を出してもらい、お代わり2度のぶつかり稽古で場内を湧かせた。続けて子どもに稽古をつけると、髪結い実演に自身の幕内土俵入り、さらに白鵬の横綱土俵入りで太刀持ちを務めて勇姿も披露した。土俵上で超満員の観客にあいさつし、最後は逸ノ城、栃ノ心と2番も。「横綱土俵入りは白鵬関にお願いしてやらせてもらいました。感謝です。見せられて良かった」と喜んだ。

 小4と中1で2度、経験した地元の巡業では、自身も若花田(横綱若乃花)らに稽古をつけてもらって「力士への思いが強くなった」。同じ思いを次世代へ-。多忙は大歓迎と、喜んで買って出た。「力士を身近に感じてほしい」という願いが地元の人に伝わり、大盛り上がりで幕を閉じた。「後半3場所の活躍がなかったら、ここまで盛り上がらなかった。頑張ることって大事だなぁ。また来年、頑張ろうと思えた」。最高に充実した表情だった。【今村健人】