綱取りか、初優勝か…。互いに悲願に近づくための最初のポイントとなった大関同士の大一番は、あっけなく勝負が決まった。

 立ち合いの注文相撲に、綱取りを目指す琴奨菊(32=佐渡ケ嶽)がバタリと倒され痛恨の2敗目。一方、初優勝を目指す稀勢の里(29=田子ノ浦)は全勝と単独トップを守った。

 八角理事長(52=元横綱北勝海)は「(注文相撲は)初めて見た。褒められた相撲じゃないけど、勝利への執念でしょう。今までが正直すぎた」と、腹を据えた稀勢の里の変化に驚きつつ評価。琴奨菊には「2差は苦しいけど、優勝がないわけじゃない。気持ちを切らさず勝っていくこと。それが評価につながる。2敗の印象も悪くない」と前向きな相撲は評価した。

 また審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「今までは四つ相撲で受け止めていたんだけど(琴奨菊が)低すぎた。当たってからの流れでしょう。仕方ないというか流れ」と一定の理解を示した。琴奨菊については「馬力で補っているけど、安定感のある相撲という評価からすれば」と、押し相撲特有のもろさも指摘。今後の星勘定を考えた綱取りの可能性については「それは予想の話だから」と言及を避けた。