西十両11枚目の天風(あまかぜ、25=尾車)が、12勝2敗で初めての優勝を決めた。

 先に取った、1差の3敗で追っていた東9枚目の千代丸(25=九重)が敗れ4敗目。勝てば優勝が決まる一番で、東筆頭の臥牙丸(29=木瀬)をガップリ四つから力相撲で寄り切り、2敗を堅守。千秋楽を待たずして優勝が決まった。

 優勝をかけた一番は「優勝うんぬんでなく、体が大きい相手だから壊されないように、立ち合いに集中して、思い切り前に出ることしか考えてなかった」と2度つっかけ、3度目に立った立ち合いに全神経を集中させていた。

 優勝決定後こそ「最初は熱くなった」と言うが「泣くこともなく不思議な感覚。新十両を決めた時の方がうれしかった」と淡々と話した。

 昨年春場所の新十両から9場所目。これが3度目の勝ち越しと、恵まれた体を持てあまし伸び悩んでいた。目覚めたのは、先場所5日目からの7連敗。「あの7連敗がオレの背中を押してくれた。“調子に乗って気を抜いちゃいけない”と、あの7連敗を常に頭に入れていた」という。場所前で七夕の今月7日に25歳の誕生日を迎えた。「25歳、最初の場所で自分への最高のプレゼントです」と自分を褒めもした。