場所前半の主役が、まさかの負け越しに終わった。勝てば初の殊勲賞を獲得できた玉鷲戦で、遠藤(26=追手風)が一方的に突き倒された。歓声が悲鳴に変わった花道を、肩を落として引き揚げる。秋場所の技能賞に続く三賞を逃し、支度部屋では無言を貫いた。

 2日目の照ノ富士戦から3日連続で大関を撃破。6日目には、無傷5連勝だった白鵬に初めて土をつけた。1横綱3大関を倒し「これに満足せず、もっと前を見てやっていきたい」。さらに勢いづくはずだったが、終盤5日間は1勝4敗と急失速。殊勲賞も、昨年から目標だった新三役昇進も消えた。

 綱とりがちらつくと勝負弱くなる稀勢の里と同様に、三賞が懸かる一番をモノにできない。夏場所も「勝てば敢闘賞」の条件付きだった千秋楽の豪風戦に敗れた。言葉にできない悔しさとともに、遠藤の今年1年が幕を閉じた。