大相撲の元大関琴欧洲の鳴戸親方(33)が20日、埼玉・川越市内で書道を体験し、達筆ぶりを見せた。毎日書道展審査員を務める澤江抱石先生(67)の指導のもと、「技」を作成。鳴戸親方は「楽しいというか緊張感があるね」と約1時間、真剣な表情で筆を走らせた。

 初めこそ慣れない筆に苦戦したが「書の線になってるね」と澤江先生が感心するほどに上達。ハネや最後の払いの部分でセンスを見せ、納得の1枚を書き上げた鳴戸親方は「自分でも良くできてる方ね」と上機嫌だった。

 ブルガリアとの友好活動を進める団体「ソフィアファミリー」が4年前に、ブルガリアから日本に来た留学生に書道体験をしてもらったのが始まり。ブルガリア出身の鳴戸親方が、ソフィアファミリーを通して小学校を訪れるなどの活動をしていた縁もあり、実現となった。

 書くほどに上達する鳴戸親方は、澤江先生に「これでやめていいと思った」とうならせた1枚を完成させた。作品は来年1月に東京・国立新美術館で開かれる「独立書展」に出展される。澤江先生は「世界に発信してもらいたい。会場でも評判になりますよ」と、「日本の書道文化」のユネスコ無形文化遺産の登録を目指す書道界にとって追い風になると期待した。鳴戸親方は「もっと書けば楽しくなるね」と充実した表情だった。