苦節15年、大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が涙の初優勝を果たした。平幕逸ノ城を寄り切って1敗を死守。結びの一番でただ1人2敗だった横綱白鵬が平幕貴ノ岩に敗れて決まった。

 稀勢の里の地元、茨城・JR牛久駅前の総合スーパー「イズミヤ牛久店」で22日、パブリックビューイング(PV)が行われ、約50人の市民が初優勝に歓喜した。大阪に本社があるイズミヤは関東からの撤退を決めているため、同店は2月1日で閉店。店舗上のマンションに住んでいた稀勢の里も通った思い出の場所が、最後に沸いた。

 同店が入る複合商業ビル「エスカード」を管理する「牛久都市開発」の宮本正寿さん(49)は取り組み前、倉庫に眠っていたくす玉をPV会場に設置した。イズミヤが12年夏に初めて用意し、1度だけ作り替えた手製のもの。歓喜の瞬間、紙吹雪とともに「優勝おめでとう」の文字が牛久市民の頭上に躍った。

 「エスカード稀勢の里関応援リーダー」の鬼沢成和さん(46)は「最後に横断幕が広げられて良かった」と涙。イズミヤ内の専門店を昨秋退社した吉田きよいさん(48)は「最後に本当に良かった」と目を潤ませた。【三須一紀】