苦しい土俵が続く西前頭5枚目の北勝富士(24=八角)が、2日目からの連敗を5で止め、ようやく今場所2勝目を挙げた。支度部屋では、応援してくれるファンへの感謝の言葉を並べた。

 「組んだ時点でダメだと思った」と荒鷲(30=峰崎)に右四つに組まれた。初日を4日後に控えた今月8日の稽古で、右ふくらはぎを肉離れ。完治にはほど遠く、この取組でも荒鷲の右からのすくい投げに振られ、懸命にこらえた。我慢すると左前まわしに手が届き、浅いもろ差し。腰を割って寄り切った。

 「組むなんて、あり得なかった。組んで勝ったのは自信になります」と言った後、埼玉・所沢市出身の北勝富士は、館内のある光景を口にした。「所沢から今日は、ハッピを着て応援に来てくれた人がいました。市役所の職員の方なんです。腹から声を出してくれて、よく聞こえました。(連敗で)落ち込んでいるからこそ、応援してくれるのはありがたいんです」。連敗中は連日、ツイッターで「頑張って下さい」といったコメントが40~50件はあったという。「明日は東京から(治療の)先生が来てくれるんです。こうやって自分は支えられている。そんな励ましに応えないと、と思っていました。この1勝は本当に良かった」と、しみじみとした口調で思いを語った。