西十両12枚目の安美錦(38=伊勢ケ浜)が、2場所ぶりに勝ち越した。東十両11枚目の北太樹(34=山響)に当たってすぐのはたき込み。前半戦は白星がいい薬だと話していたが「勝ち越しは特効薬だね」と笑顔を見せた。

 「内容は褒められたもんじゃないけど。当たろうと決めていたが、足に力が入っているんだか、いないんだか…。ここ(12枚目)で勝ち越しと負け越しでは意味が違ってくるし、普段より取りきりたい思いが出るから、より緊張を感じちゃうんだよね」。

 百戦錬磨のベテランをしてもやはり、勝ち越しを意識して緊張があったという。それでも、我慢して取り続けてきたかいがあった。ただ、これで楽になるかという問いかけには「8番じゃ大して(番付が)上がらないから、みんなが安心できるように残り頑張っていかないと」と気を緩めなかった。

 幕内では弟弟子の大関照ノ富士が優勝争いを演じ、横綱日馬富士は13日目に稀勢の里と対戦する。そんな部屋の状況を踏まえて「後は照ノ富士と横綱に頑張ってもらって。で、オレが(優勝パレードの)旗手。良いところを持って行く。そのためにも、負け越すわけにはいかなかったからね」と、安美錦流のエールを送っていた。