新入幕の豊山(23=時津風)が、8連敗という長いトンネルからようやく抜けた。

 西前頭11枚目の石浦(27=宮城野)を小手投げで逆転勝ちして2勝目。「ホッとしました。やっと止まった。長かったです」と安堵(あんど)した。

 石浦にもぐられて左を差されると、左腕で首を絞めるような形でロックし、我慢した。その間、考えていたのは「膝が伸びないことだけ。曲げろ、曲げろと思っていた」。隙をつくらないように耐えた後、勝負と見て前に出る。1度は体を入れ替えられたが、俵を背負いながらさらに体を入れ替えるような形で、右から豪快な小手投げ。石浦を土俵外へ放り投げた。

 勝ち名乗りを受ける際は「両腕がパンパン。手に力が入らなかった。ふわふわした」ため、懸賞を落とさないように両腕で受け取る一幕も。この日は地元新潟から応援団が駆けつけていたが「ここまで来たら、何も失うものがない。残り5日間、気合で勝てるように、明日から一番一番、しっかり戦う姿勢を見せたい。来場所につながるためにも、しっかり取らないと」と自分自身を鼓舞した。