7場所連続休場中の大相撲の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて本格始動した。新番付発表から一夜明けた26日、名古屋市の部屋での最初の稽古を行った。休場すれば貴乃花と並んでいた横綱として最長の連続休場が、単独でワースト記録となるだけに「あとは結果を出すのみ」と、悲壮な決意を口にした。

 三段目力士に胸を出す稽古は、徐々に熱を帯びていった。最初は無言だった稀勢の里は、途中から「よし来いっ!」などと声を掛け始めた。相手に押し込ませてから押し返し、最後は投げや突き落とし。上体を起こされた場面を想定しつつ、足腰の踏ん張りを確認した。「順調に稽古をやって名古屋に入ることができた。すばらしい環境で申し分ない。あとは結果を出すのみ」。今年から名古屋場所の部屋宿舎が移転。土俵の感触を確かめながらも、7場所連続休場中の現状打破への思いをのぞかせた。

 横綱審議委員会(横審)の多くの委員は、次に出場した場所が大事という意見だ。出ると決めたら中途半端は許されないだけに、名古屋場所の出場を問われても「しっかり稽古してやるだけ」と、明言は避けた。

 今場所も休場すれば、横綱では単独で最長の8場所連続休場となる。昨年の名古屋場所は途中休場ということもあり「元気なところを見せたい」と出場の意欲は強い。日本中がサッカー・ワールドカップ(W杯)に沸く中「語れるほど詳しくないから」と“半端ない”復活劇だけを目指して相撲道に集中している。

 29、30日には二所ノ関一門の連合稽古に参加予定で「そこに合わせて準備していきたい」と、今日27日にも弟弟子の大関高安との三番稽古を再開する。「だいぶ感覚もよくなってきた」と、全休だった最近2場所よりも表情は明るい。「あとは結果のみ」。最後に再び発した言葉に、決意がにじんでいた。【高田文太】