俳優生田斗真(25)が映画「源氏物語(仮題)」(鶴橋康夫監督、来年公開)で主人公、光源氏を演じることが2日、製作の角川映画から発表された。紫式部によって生み出された古典文学の最高傑作は何度も映像化されてきたが、本作では時空を超えた愛憎劇を描く。製作費は約10億円。CGやアクションシーンを取り入れるなど、斬新なエンターテインメント大作になりそうだ。

 才能、美ぼうに恵まれた光源氏を演じる生田はジャニーズ事務所所属。端正な顔立ちだけでも素質は十分だ。鶴橋監督は生田について「少年のような笑顔と孤独な表情を見せたときに感じられる心に秘めた怒り。当代きっての光源氏を演じてくれるのは彼だと思いました」とすっかりほれこんでいる。

 「源氏物語」は紫式部によって生み出された日本文学の最高傑作。過去に映画、ドラマなどで何度も映像化されてきたが、本作は豪華絢爛(けんらん)な時代絵巻に斬新さが加わる。

 本作で登場する女性は、初恋の人、藤壺、光源氏への執着で生き霊となる六条御息所、身分は低いものの傷ついた心を癒やす夕顔。さらに、光源氏に嫉妬(しっと)心を抱くようになる著者の紫式部、その紫式部に同作を書くよう命じた藤原道長や安倍晴明が登場。現実と夢が交錯し、時代を超えたファンタジー要素が盛り込まれる。生き霊とのアクションシーンやCGをふんだんに使用することから、撮影に3カ月、編集作業は約半年かかる大作となる。

 光源氏を中心とした恋愛よりも愛憎劇の面を強調するストーリーになる。鶴橋監督は渡辺淳一氏原作の映画「愛の流刑地」を手掛けた。作家と人妻の愛と性を描いた作品で豊川悦司と寺島しのぶを起用。男と女の情念を映像で描き切ったとして高く評価された。本作でもその手腕を発揮することが期待される。

 最近の生田は映画出演が続いている。今年は「人間失格」「シーサイドモーテル」と主演作が2本。8月は新垣結衣と共演した「ハナミズキ」が公開を控えている。本作では時代劇に初挑戦。「角川歴彦会長から『生田斗真で源氏物語をやりたい』と言われ続けていました。本当に実現することになり、心からうれしく思います。多くの方に光源氏を知ってもらいたいです」と話している。9月下旬に撮影開始。