来年5月に退団する星組トップ柚希礼音が22、23日に東京・日本武道館でリサイタル「REON in BUDOKAN」を行う。同所でのタカラジェンヌ公演は98年の真矢みき以来2人目。在位6年を超える「トップ・オブ・トップ」がファンへの感謝をテーマに「For Good」を作詞するなど、客席と踊り、歌う「観客参加型」の構成になる。

 真矢みき以来、16年ぶり2人目の武道館公演だ。

 柚希 伝説なので、本当にえらい(大変な)ことなんですけど、重みや責任を感じ…って思わずに、私が一番楽しんでいるくらい、楽しみたい。歌手の方でも、なかなか立てない武道館なので、ありがたく。

 トータルプロデュースはTRFのSAM。休憩なしの1時間45分を予定し、得意のダンスも満載になりそう。

 柚希 まず私がダンスナンバーを。映像と戦い、踊る場面では黒から白いレオンに早がわりも。ストリート系で、普段と使う筋肉が違い、膝下がなまりに…。TRFのダイエットDVDのように、ずっと踊っています。あれ(DVD)をやればやせると思うけど、やってないです(笑い)。TRFコーナーもあって、トロッコ(アイドル公演でおなじみの移動式車)で回り、お客さんと踊ります。

 柚希の意向から、武道館公演は「超・お客さま参加型」になるという。

 柚希 「ロミオとジュリエット」のフィナーレナンバー「エメ」を一緒に。TRFメドレーもあります。世代というか、カラオケでよく歌いました。懐かしい。♪イージー・ドゥ・ダンス ♪フー みたいな合いの手もやって。

 客席とハモり、歌う場面も用意。「チエちゃんコーナー」では、柚希らしく格好良く、笑いもある。

 柚希 懐かしいほっこり芝居で(優勝した)運動会ネタも。ナポレオンとか、私が演じた役を組子がやって、私はダニー・オーシャン。コンサートって、どこかステージと客席が離れているので、一体感を。参加が多いので、疲れるかも。お客さまも体力をつけて、きてください(笑い)。

 過去に経験はあるが、今回も新曲「For Good」を作詞した。

 柚希 永遠に、いつまでも-みたいな意味です。最後って、絶対にもうすぐ来るんですけど、いろいろ、私の中で感じた気持ちを書きました。もうすぐ終わりますけど、その前にまだまだ伝えたい思いがある-という感じです。

 近年異例のトップ在位6年の長期。ひとえにファンの支えがあってこそだ。

 柚希 いっぱいの感謝と、幸せと、そして寂しさ。退団発表も、運動会でも泣いてしまうし。最近、すぐ涙が出る。退団者って泣いているイメージない…。でもなぜか、こみ上げてくるんですよね。

 グッズのTシャツは着用すると、背後から等身大の柚希の腕で抱擁されているデザインになっている。

 柚希 とよこさん(元星組の先輩スター涼紫央)のアイデア。実際に私の型をとって、指紋も入ってます。ショーをお見せするというより、もっとお客さまに近く感じていただけるような、キャッチボールがいっぱいできるような公演にしたい。

 けいこで追い込まれても、悔し涙を流しても、笑顔だけは絶やさず進んできた。“楽しんで生きる”能力は天賦の才だ。

 柚希 最後が見えて、これで集大成-じゃない。最後まで「まだ知らない柚希礼音がいた」と言ってもらえるようにしたいですね。【取材・村上久美子】

 ◆柚希礼音スーパー・リサイタル「REON in BUDOKAN~LEGEND」 トータルプロデュースに、ダンスクリエーターとしても活躍するTRFのSAMを迎え、劇団の石田昌也氏が構成、演出。

 ☆柚希礼音(ゆずき・れおん)6月11日、大阪市生まれ。99年「ノバ・ボサ・ノバ」で初舞台。星組配属。03年「王家に捧ぐ歌」新人公演以来、5作連続主演。09年4月、トップ就任。12年「オーシャンズ11」で、第37回菊田一夫演劇賞。昨年は台湾公演、今年1月は「眠らない男・ナポレオン」で、100周年の本拠地幕開け作に主演。身長172センチ。愛称「ちえ」。