男性デュオ、CHAGE and ASKA(チャゲアス)のASKAこと宮崎重明容疑者(56)が17日、覚せい剤取締法違反(所持)容疑で警視庁に逮捕された。4月に都内の知人女性宅で少量の覚せい剤を所持した疑い。逮捕後の尿検査で覚せい剤の陽性反応が検出され、自宅でも使用器具などが発見された。昨夏から週刊文春に覚せい剤使用疑惑を報じられたASKAは、疑惑を晴らすことなく容疑者になった。

 捜査関係者への取材によると、ASKA容疑者は17日午前7時半ごろ、東京・港区南青山の路上で、知人女性が住むマンションから1人で出てきたところを警視庁組織犯罪対策5課の捜査員に任意同行を求められた。抵抗する様子もなく、おとなしく素直に応じたというが、この際にろれつが回っていなかったという情報もある。その後、東京湾岸署に身柄を移し、容疑が固まった同9時48分に同署内で逮捕された。知人女性も同日午後、同じ容疑で逮捕された。

 2人の逮捕容疑は、4月6日と同12日ごろに知人女性の自宅で、覚せい剤のフェニルメチルアミノプロパンを少量、2人で共謀して所持していた疑い。ASKA容疑者は調べに「私は今までに覚せい剤を所持したことはありません」と供述している。しかし、逮捕後に行われた尿検査では、覚せい剤や合成麻薬MDMA(通称エクスタシー)の陽性反応が検出された。

 また、東京・目黒の自宅の家宅捜索では、覚せい剤とみられる粉末やMDMAとみられる錠剤を押収。薬物の使用器具も見つかり、同課は、使用の疑いがあるとみて薬物の入手経路などを調べる。一方、知人女性の自宅からは押収はなかったが、覚せい剤は逮捕事案となった両日にASKA容疑者が用意し、持ち込んでいたとみている。知人女性も容疑を否認しているが、尿検査では、やはり陽性反応。両容疑者が、覚せい剤を共謀して使用した疑いも出てきた。

 ASKA容疑者については、昨夏から覚せい剤使用の疑惑が浮上していた。8月にASKA容疑者が覚せい剤吸引の現場を暴力団員に盗撮され、脅されていると、週刊文春が報道。所属事務所は「事実に反しており、大変遺憾」と否定したものの、その後も疑惑が消えることはなかった。同10月には、文春の記者に暴力団との交際を認めつつも、「使用したのは興奮鎮痛剤だった」と主張。その後は活動を自粛していた。音楽活動再開のメドが立たないまま、ついに捜査のメスが入った。所属レコード会社の担当者は「事実関係を確認中です。それ以上申し上げられない」としている。

 ASKA容疑者は1979年(昭54)、CHAGE(56)とデュオ、チャゲ&飛鳥としてデビュー。甘さと力強さが同居した声や、メッセージ性の高い楽曲で人気を集めた。フジテレビ系ドラマ「101回目のプロポーズ」の主題歌にもなった「SAY YES」をはじめ、「YAH YAH YAH」など数々のヒット曲を生み出した。ソロでも活動し、海外でも人気を集めた。

 ◆ASKA(あすか)本名・宮崎重明。1958年(昭33)2月24日、福岡生まれ。第一経済大3年の時に同い年のチャゲ(柴田秀之)とコンビを組む。79年、「ひとり咲き」でデビュー。80年に「万里の河」が大ヒット。楽曲提供も多く、作詞して、葛城ユキの歌唱で83年に大ヒットした「ボヘミアン」、作詞・作曲した光GENJIの「ガラスの十代」「パラダイス銀河」などが大ヒット。87年に元アナウンサーと結婚。長男はバンドの元ギタリスト。長女はシンガー・ソングライター。

<ASKA容疑者の覚せい剤疑惑の経過>

 ◆13年8月1日 週刊文春が「シャブ&飛鳥の衝撃」と題した記事で、ASKAがガラスのパイプで覚せい剤を吸引するところを暴力団員に盗撮され、脅されていると報じた。所属事務所は同日、ホームページで「報道の内容は事実に反しており、大変遺憾です」と反論した。

 ◆同2日 都内の自宅に取材陣が集まったが、対応はなかった。

 ◆同6日 ASKAの父が「息子は薬物に手を出すやつではない」と憤慨していると週刊女性が報道。

 ◆同7日 盗撮映像を見たASKAが「お前がそのつもりなら、あらゆる手を使ってつぶしてやる」と、逆に脅したと週刊文春に報じられた。

 ◆9月27日 ASKAが所属事務所の公式HPで「記事にあるようなことは一切やっていませんし、あのような言動、行動に関しても一切ありません」と疑惑を否定。

 ◆10月9日 同日発売の週刊文春で、使用していたのは覚せい剤ではなく、アンナカと呼ばれる興奮鎮痛剤だったと主張。一方で、あわせて報じられた暴力団員との交際は認めた。文春記者を自宅に入れた上での取材対応だった。

 ◆同10日 事務所が公式HPで「(記事は)本人が承諾したものではない」などと主張。同時にASKAの活動自粛も発表したが、理由は「週刊文春の記者に無断で接触し、コメントしたため」などとした。