11月28日に覚せい剤取締法違反容疑(使用)で警視庁に逮捕された歌手ASKA(本名・宮崎重明=58)について勾留期限を迎えた19日、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分にした。

 不起訴処分を受け、元近畿厚生局麻薬取締部長の西山孟夫氏は「有名人だけに社会的影響も大きい。否認して粘ればいいという認識も生まれるし、警察のダメージは大きい。鑑定の手続きや方法に瑕疵(かし)があったのでは」と指摘する。ASKAは「お茶を入れた」と供述しているとされるが、西山氏は「どんな供述をしようと、尿が大きな物的な証拠であって、鑑定を信頼できればもちろん有罪になるし、起訴猶予はあったとしても、嫌疑不十分にはならない」と話した。

 飲料の茶成分から化学物質である覚醒剤が検出されることはない。鑑定では体内から出た代謝物なのか、混ぜたものなのかも分かるという。別の捜査関係者によると通常、任意の採尿時には、捜査員が直接陰部を現認することは少ないが、横に立って採尿の様子を見届けたり、撮影するなど証拠を確保し、本人の前で封をするのが一般的という。簡易鑑定の結果が、限りなく陰性に近い陽性だった可能性や、尿検査の際のミスも考えられるという。

 西山氏は今後について「警察のメンツもある。次は所持も含めて確実に逮捕できるようマークが強まるでしょう」と指摘している。