桂米朝一門の筆頭落語家、桂ざこば(69)が、左中大脳動脈閉塞(へいそく)症、塞栓(そくせん)性脳梗塞で倒れ、緊急入院したことが28日、分かった。所属事務所によると、前日27日に大阪松竹座公演「銀二貫」(6月1日開幕)の稽古に向かう途中、足元がふらつき、言語も不明瞭だったことから、弟子らが「おかしい」と救急通報。大阪市内の病院に搬送された。

 一門関係者によると、現在は投薬の影響もあり意識が混濁することはあるが、意思疎通は図れ、体を動かすこともできる状態という。前日27日は、大阪府内の自宅から市内の稽古場まで電車で到着しており、「家を出る時は変わった様子はなかった」という。

 今年春の定期検査で、今回と反対側にも脳梗塞が治癒したとみられる痕跡が発見されており、事務所も「きっちり検査を終えないと先のことは分からない」。手術も含めて今後の予定は未定という。

 医師は「1カ月以上の入院加療を要する」としており、松竹座公演や読売テレビ「そこまで言って委員会NP」などのテレビ出演も当面取りやめる。松竹座は弟弟子の桂米団治(58)と高田次郎(85)がダブルキャストで代演する。

 この日、米団治は府内で一門会に出演後、ざこばについて「カテーテル治療を受けた」と明かした。また「直接会えていないが、普通にトイレにも行きはったらしい。リハビリでどの程度回復するか。落語が普通にしゃべれるのか。それはこれからです」と話した。

 米団治はざこばの師匠、米朝さんの長男で、子供の頃からざこばを「兄ちゃん」と慕ってきた。「たばこも吸うし酒も豪快で見たまんまの人。春に(検査で)脳梗塞の痕跡が見つかって不安がってはった。今度は逆(側)やから。(回復を)願うばかりです」と心配そうに話していた。【村上久美子】

 ◆脳梗塞(のうこうそく) 脳や首の血管に血の塊(血栓)が突然詰まって十分な栄養が届かなくなり、その先の組織の機能が失われる病気。主な原因は高血圧、糖尿病、喫煙など。初期症状として体の半分のまひ、言葉がうまく話せないなどがある。