直木賞作家で、テレビの司会者としても親しまれた藤本義一(ふじもと・ぎいち、本名よしかず)さんが30日午後10時18分、肺炎のため兵庫県西宮市の病院で死去した。79歳。堺市出身。葬儀・告別式は11月2日に西宮市の公益社西宮山手会館で。喪主は妻の統紀子(ときこ)さん。

 大阪府立大卒。在学中から放送作家として活躍し、1957年(昭32)にラジオドラマ「つばくろの歌」で芸術祭文部大臣賞。映画会社で脚本を書き始め、川島雄三監督に師事、「駅前」シリーズなどの脚本を手掛けた。

 人気テレビ番組「11PM」の司会を務める傍ら小説を書き始め、74年に「鬼の詩」で直木賞。関西が抱える諸問題に、積極的に発言するご意見番的な存在でもあった。

 阪神大震災後に震災遺児らの厚生施設「浜風の家」を設立して理事長を務め、火災に見舞われた大阪・法善寺横丁の復興支援に尽力するなど、社会活動にも力を注いだ。

 主な著書に「元禄流行作家

 わが西鶴」「掌の酒」「蛍の宿

 わが織田作」など。