今年4月に亡くなった作家、渡辺淳一さん(享年80)のお別れ会が28日、都内のホテルで行われ、テレビ、映画で11本の渡辺作品に出演した盟友、津川雅彦(74)が秘話を明かした。

 「先生は『お前は経験もしてないことを演じられるのか』とおっしゃる。自分は実体験を正直に書いているというんです」。

 作品に登場するすさまじい愛憎劇はまさに実体験という。「別れ話の最中の女性の罵詈(ばり)雑言には才能を感じたそうです。いい悪口言うなあって思ってメモを取りたいのだけれど、そんなことしたら、ますます怒られちゃう。そこで、トイレに行ってトイレットペーパーにメモしたそうです」と生々しいエピソードも。

 「ラブシーンは嫌いではないけど、映画化された『ひとひらの雪』に出演したときはさすがにラブシーンばかりで飽きちゃった。相手役(秋吉久美子)の肌触りは良かったけど」と旧作を振り返り、「10年くらい前かな、もう女性を書くの飽きたから男の嫉妬を書くとおっしゃる。先生が書けば(シェークスピアの)『オセロ』を超える素晴らしい作品が出来ると言ったら。君がやれ、と言ってくださった。でも、結局実現しなかった。大ヒットした『失楽園』に出られなかったこととそれが、お世話になった先生へのたった2つのお恨みです」と未完の作品秘話も明かした。

 常に女性に囲まれていた故人らしく、700人の参列者の中には、三田佳子、黒木瞳、川島なお美、秋吉久美子、名取裕子、八代亜紀らゆかりの女優、歌手の顔が数多くあった。