ハスキーボイスとつやっぽい演技で人気だった女優大原麗子さんが6日、東京都世田谷区の自宅で死亡してるのが見つかった。62歳だった。連絡が取れず心配した親族が警察に連絡。警視庁成城署員が発見した。事件の可能性は低いとみられる。大原さんは64年にNHK「幸福試験」でデビュー。映画、ドラマ、CMなどで活躍した。99年からは筋肉を動かす運動神経に障害が起き、手足などに力が入らなくなる「ギラン・バレー症候群」にかかったため、芸能活動を休んでいた。

 名女優の最期は孤独な死だった。しばらく連絡がとれないことを不審に思った都内に住む会社員の弟が3日に警察に相談。成城署員5人とこの日午後6時30分すぎに自宅に向かい、午後7時10分に寝室であおむけになって死亡している大原さんを発見した。

 成城署によると、死後2週間以上経過しているといい、警視庁が詳しい死因を調べている。外傷はなく自殺の可能性もないこと、門扉や玄関などが施錠されていて侵入した痕跡もないことから、事件性は薄いとしている。

 大原さんは99年に筋肉を動かす運動神経に障害が起き、手足などに力が入らなくなるギラン・バレー症候群にかかり、芸能活動を休止。昨年11月にも右手首を骨折し、ひざを打撲するなどの重傷を負った。

 病気後はステロイド系の薬の副作用から、そううつ状態が激しく、知人を夜中に呼び出すために何度も電話をかけ、知人が自宅を訪れると機嫌が良くなっておしゃべりになったという。「最後はカナリア諸島で誰にも分からないように死にたい」ともらしていたという。テレビ局の関係者やかつての共演者に頻繁に電話。だが、電話の内容の整合性がとれないことも多く、このため親しい友人らは次第に距離を置くようになっていったという。最近は金銭的にも困り、集めていたブランド品を売るなどしていた。

 ただ、女優復帰には前向きで、ある芸能関係者は昨年秋から具体的な話を電話で相談したという。今年4月に話した際には「いつも通り元気な口調で『うちに遊びにおいでよ』と言っていた」と肩を落とした。

 昨年12月には、かつてNHK大河ドラマ「春日局」の夫役として共演した俳優山下真司と都内のジムで偶然出会った。柔軟体操をするなど「リハビリして仕事がしたいわ」と話しかけていたという。7月下旬に仕事を依頼しようと電話をかけたドラマプロデューサーの石井ふく子氏は「自宅の電話も携帯も通じなかった。どうしているのか心配していた。とにかくびっくりしている」と話すのがやっとだった。

 [2009年8月7日8時10分

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