引退を表明していた歌手二葉百合子(79)が6日、東京・渋谷のNHKホールで、全国49カ所を回った「さよなら公演」のファイナルを行い、77年の歌手生活に幕を下ろした。

 二葉は公演の最後に「岸壁の母」を絶唱した。

 <歌詞>母は来ました

 今日も来た

 この岸壁に

 今日も来た…

 終戦後、旧ソ連シベリアからの引き揚げ船の着く京都・舞鶴港で、生死不明の息子を待ち続けた故端野いせさんの実話を基にした名曲だ。元祖は故菊池章子さんの曲だが、74年にセリフ入りでカバーし大ヒット、二葉の“代名詞”となった。端野さんが81年に82歳で亡くなるまで親交を持った二葉は「この曲のおかげで、ここまでやってこられた。今日、おばあちゃん(端野さん)が横に立ち『頑張れ』と言ってくれた」と涙した。

 「岸壁の母」は反戦歌である。二葉はかつて「平和な時代に、若い世代の方が少しでも、戦争の恐ろしさ、悲しさを感じてくれればと思い歌ってきました」と話した。この日、原田悠里、坂本冬美、藤あや子、石原詢子、島津亜矢、湯原昌幸ら二葉の弟子たちや五木ひろし、秋元順子もゲストとして登場した。二葉は「私は引退しますが、歌い続けてくれるはず」と、「岸壁の母」の歌心の継承を願った。