【香港26日=瀬津真也】25日のさいたまスーパーアリーナ公演で、AKB48卒業を表明した前田敦子(20)は、香港に飛び、外務省主催のジャパンポップカルチャーの祭典「元気な日本展」のAKB48ライブ&トークショーに出演した。増田有華(20)仲川遥香(20)の高校の元同級生メンバーとの遠征を「卒業旅行」と呼んで、一夜明けた解放的な心境を明かした。

 前田は、どこまでも笑顔だった。重大発表を終え、肩の荷が下りたのか。3日間のコンサート翌朝からの渡航にもかかわらず、疲れた表情は一切なし。柔和な笑顔で、歌い、しゃべった。終演後の取材では、衝撃の卒業表明から一夜明けたこの日の遠征について、「卒業旅行だよね」と言い、隣の仲川を見やると、照れ笑いした。

 仲川には「これからは(卒業日まで)思い出づくりだもんね」と声を掛けられた。前田への熱い思いを公式ブログにつづった増田からは「卒業は離れるイメージだけど、大好きな友達だから、ずっと一緒」と、肩を抱かれた。

 前田

 メールをくれたメンバーもいっぱいいて、皆が「もっと思い出作ろうね」って言ってくれた。後輩たちは、「今からでもメアドを教えてください」って話し掛けてくれたんです。それがすっごいうれしかった。

 これまで後輩にとって、遠い存在の孤高のセンターだった。重圧を感じている姿も、遠巻きに見つめられていた。前夜のステージで号泣しながら、すべてをさらけ出した瞬間、垣根が取り払われたのだろうか。その温かい交流が、前田には何よりうれしかった。増田にも「あらためて敦子は皆に愛されてると、よく分かりました。仲間として、本当にうれしい夜でした」と自分のことのように喜ばれた。

 香港入り前夜も、仲川、篠田麻里子(26)高橋みなみ(20)峯岸みなみ(19)板野友美(20)と、ささやかな打ち上げを行った。長く長く胸にしまい続けていた一大決心の卒業宣言は、前田にとって、仲間との絆を再確認させる節目にもなった。

 今回の遠征の同行メンバーの仲川と増田は、くしくも高校の元同級生という仲良しメンバーだった。「これから、海鮮ものを食べてきま~す」。あくまでもAKB48活動での出張だが、リラックスできる環境だけに、心のバカンスも兼ねられそうだ。