このギターで歌ってくれ!!

 舞台「旅立ち~足寄より~」(7月30日から8月3日まで東京・青山の草月ホールで9公演)で松山千春役を演じる三浦祐太朗(28)に、フォークシンガーの松山千春(56)が27日、「思い出のギター」マーチンのD28をプレゼントした。「これからは祐太朗の時代」と、ギターに期待と夢を託した。

 三浦友和・百恵夫妻の長男祐太朗は、千春の自伝的小説「足寄より」を舞台化した「旅立ち~足寄より~」で千春役を演じる。08年にロックバンド、Peaky

 SALTとしてメジャーデビュー。シングル3作品とアルバム1作品を出したものの10年に活動を休止した。その後、方向性を模索する中、射止めたチャンスが今回の役。8月1日には、千春が77年に発表したデビュー曲「旅立ち」のカバーでのソロデビューも決まっている。

 その境遇を千春は、自身と重ね合わせた。35年前、千春を見いだした北海道・STVラジオの竹田健二ディレクターは、デビューした千春に「全てのアコースティックギター演奏者のあこがれ」とされるマーチンのD28ギターをプレゼントし、シンガーとして成功する夢を託した。そして今、千春もこのギターに思いを込めた。「あの時にもらったギターと、同じギターを祐太朗に渡したいと思った。これからは若いシンガーに頑張ってもらわないと…」と千春は、後継者に祐太朗を指名した格好だ。

 千春からマーチンのD28を手渡された祐太朗は「このギターを持つのは憧れでした」と言い、目頭を熱くした。早速、ギターを抱えると、千春は思わず言った。「かっこいいよ。ブルース・スプリングスティーンにそっくりだ。とにかくアコギで歌えるカッコいいシンガーになって欲しい。舞台でもこのギターを使ってほしい」。恐縮する祐太朗は「頑張ります」と言うのが精いっぱいだった。

 ◆マーチンのD28

 1833年創業のマーチン社による「全てのアコースティックギターの原点」と呼ばれるギター。日本では、フォーク全盛の70年代から「演奏者の憧れ」と位置付けられ、「マーチンのニッパチ」とも呼ばれる。価格は数十万円。中古では10万円台で取引されている。