歌舞伎俳優中村吉右衛門(69)が10日、味覚障害と闘っていることを明かした。発症したのは今夏で、甘みは感じるが、ほかの味覚が鈍くなっているという。現在、東京・銀座の歌舞伎座で「芸術祭十月大歌舞伎」に出演中。11月は同所で、12月は国立劇場に出演予定で、「70%まで戻ったかどうかというところ。12月まで万全にやりたい」と回復を誓った。
吉右衛門はこの日、都内で、12月の国立劇場の公演について会見した。「知られざる忠臣蔵」と銘打ち、「主税と右衛門七」「弥作の鎌腹」、舞踊「忠臣蔵形容画合」が上演される。会見で「変な病を得たが、体がきちっとなったら戯曲を作りたい」と話し、終了後「味覚障害です」と自らの口で体調不良を説明した。
吉右衛門によると、今年8月に、のどにウイルス性の感染症ヘルペスを発症し、その後味覚障害に。症状が最もひどい時は、自分のつばが飲み込めなかった。甘みだけは感じたため、夏は冷やししるこや、点滴で栄養を補っていたという。
障害によって嫌いだったオートミールや茶わん蒸し、オムライスが食べられるようになったことや、好物を口にしていないことも明かした。「うなぎ、そば、てんぷらがいつ食べられるのか。うなぎを食べた時まずかったら、生きる希望がなくなっちゃう」。
味覚障害は亜鉛不足が原因のケースが多いが、亜鉛も足りていたといい、疲労蓄積などが遠因になったとみられる。ここ数カ月は特に多忙を極めており、今年4月に開場した歌舞伎座では3カ月続けてこけら落とし公演に出演、7月から9月にかけては全国を巡業していた。
味覚以外に異常はないため、特に通院はしていないとし、深刻な様子は見せなかったが「口から入る物は必要だと分かった。味気ないということが分かった」としみじみ語った。
◆味覚障害
味覚減退(味が分かりづらい)、味覚消失(味がしなくなる)、解離性味覚障害(特定の味だけ感じない)、異味症(本来と違った味を感じる)、悪味症(何を食べても嫌な味を感じる)、自発性異常味覚(口の中に何もないのに味を感じる)などがある。味蕾(みらい)細胞の生まれ変わりに必要な亜鉛不足をはじめ、刺激物の取り過ぎも原因となる。




