俳優渡辺謙(52)が“被災者との約束”を守る。22日、都内で行われた映画「はやぶさ

 遥かなる帰還」(滝本智行監督、2月11日公開)の集会イベントに出席。来年1月、東日本大震災の被災地4カ所で先行試写会を行うことを明かした。まずは「はやぶさ-」で今年4月から被災者aとかわした公約を実現する。

 渡辺がかみしめるように言った。「宮古、大船渡、名取、石巻。“kizuna311”のプロジェクトの中で、まず被災者の方に見てもらいたい」。震災後の4月以降に被災地を20カ所以上訪問。被災者の方と直接、自身の出演映画を被災地で優先的に試写することを約束してきたという。

 第1段階として、一般の試写会に先駆け、1月に岩手、宮城の4都市で実施する。被害の大きかった岩手県大船渡市では、一般ホールでの開催となる。

 3月11日の震災発生時、渡辺はロサンゼルス発の航空便で帰国途中だった。帰国後、現実を知り言葉を失った。すぐに被災者を励ますメッセージサイト「kizuna311」を立ち上げた。4月以降に可能な限り被災地を訪問。先行試写会実施を約束してきた。「はやぶさも7年の航海で多くの困難に遭遇した。(被災地の方も)困難に立ち向かってほしい」。

 映画「はやぶさ-」のテーマは「絶対にあきらめない」。燃料漏れ、姿勢制御不能、通信途絶による行方不明など幾多の困難を乗り越え、帰還を果たした。渡辺は、勇気と責任、そして信じて前に進むことを訴える映画の思いが、被災地に届くと信じている。「骨太の映画になった。絶対にあきらめない、というメッセージになれば」と願いも口にした。【山田準】

 ◆はやぶさ

 遥かなる帰還

 小惑星探査機「はやぶさ」の歴史的偉業を支えた日本の科学者・技術者と、それを見守った人々の激動の7年間を描く。主演の渡辺謙は、はやぶさの指揮を執った宇宙機構の川口淳一郎プロジェクト・マネジャー役。宇宙科学研究所教授役で江口洋介、朝日新聞記者役で夏川結衣、町工場の経営者役で山崎努、NECのイオンエンジン担当役で吉岡秀隆。小沢征悦、中村ゆり、石橋蓮司、藤竜也らも出演している。