<11年年間大賞第3弾・船釣りブロック>

 2011年間大賞のラストは、船釣りブロックの計48地区だ。静岡・清水港で「幻のロクマル」といわれる60センチの超ド級のクロダイが出た。クロダイ

 60センチ

 3・02キロ田村英史さん◆清水港「原金つり船」2月13日

 清水港のクロダイは、独特のダンゴ釣りで狙う。田村さんがこの日、入ったのは折戸ポイント(水深10メートル前後)だ。魚の活性が高いのを読み、オカラベースのダンゴは底に届いてからすぐ割れるように調合。付け餌は大粒アミの房掛けで、ゆっくり流れる潮に乗せ、浮かないように糸を送り込んで流す。餌取り対策だという。

 40センチクラスを何匹か釣り上げた後、午後0時半すぎだ。コンッ、の前アタリに続いてグイッ…と、ひったくるようなアタリが。合わせると途端にグングン…あまりに強烈なため、思わず立ち上がって対応。相手は船の反対側へ走り、「ハラハラのやりとり」を続けること3分余り、海面下に見たこともない巨大なクロダイの姿がユラ~。持ち込んだタモ網は35センチ径、魚体の半分しか入らず、金魚すくいの要領で素早く船内に取り込んだ。これが、清水港で「幻のロクマル」と呼ばれ、田村さんにとっても自己最大となる60センチの超ド級だった。

 田村さんは、ダンゴ釣りは1年目だが、紀州釣りやフカセ釣り24年でキャリアは十分。昨年12月に清水港で53センチを仕留め、以来、ホームグラウンドとなり、記録魚をみる前週も50センチと54・5センチをゲット、今年だけで20センチ以上は年間340匹余り釣っている。その日によって動きが違うクロダイの繊細さは「奥が深い」ともいわれ、「命懸け」とも話すクロダイひと筋の達人は、「サイズの“頂点(ロクマル)”を極めたとはいえ、『ナナマル(70センチ)』もいると聞いてるし、次はそれを目指したい」と早くも次の目標を設定。新春から新たな釣戦をスタートさせるという。

 ◆現認者=清水港「原金つり船」吉原浩二船長(47)

 清水港で「ロクマル」は8年前に出ているが、田村さんの獲物は60年余り釣り宿をやっているうちとしては初。警戒心の強いクロダイは、その年によって傾向が違い奥が深い。今年は、前アタリで糸を送り込むパターンがハマったが、田村さんは研究熱心で集中力もスゴい人だから、それを見極めて“幻”を実現した。