小澤剛選手(シード)に死角なし。不得意な緩流を攻略しG杯史上2人目となる3勝目を連覇で飾った。「第36回G杯争奪全日本アユ釣り選手権」(主催・(株)がまかつ)が6、7日の両日、岐阜県下呂市の馬瀬川上流で11地区の予選を勝ち上がった64選手(シード、推薦含む)が参加して行われた。2日目の決勝は7選手で匹数を競い、浅場の緩流を絶妙のオトリ操作でくまなく引き24匹(オトリ2匹込み)追わせた小澤選手が圧勝。2位は18匹を釣った楠本慎也選手(揖保川)、3位は16匹の矢内伸人選手(シード)が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小澤選手の勢いが止まらない。4年間で3回の優勝。しかも、がまかつフィールドテスター・福田眞也選手(92、03、06年大会優勝)に続くG杯史上2人目となる3勝の快挙を連覇で飾った。他の全国大会も含めると14回目の優勝となる。

 09年、11年は得意の瀬釣りで圧勝。今大会は渇水で流れが緩くアカ腐れのタフコンディション。それでも「背バリを使った引き釣りのまま、オトリにかけるテンションの強弱だけで流れの緩いところでも野アユを追わせる技術を磨いてきた」という釣りで他を圧倒。

 狙ったのは「人頭大の石底で薄茶色の中に白い筋があるところ」。「水が高かった数週間前から下見をし野アユが移動したポイントがわかっていた」と追いが渋かった予選は止め釣り中心でピンポイントを攻め、前日の通り雨で野アユの活性が上がった準決勝からは引き釣り主体で勝負した。

 決戦は「心が揺れたら絶対に勝てない。すべてをシャットアウトする心構えで戦い続けた」という信念で挑み「本能にまかせた」ポイント選びでトロ瀬や平瀬をくまなく引き、他を寄せつけないペースで野アユの追いを引きだし、2位に6匹差をつけて圧勝した。

 3度目のG杯を手にすると「憧れの大先輩と並ぶことができてうれしい。これからも日本一アユ釣りがうまくなったと思える日がくるまで頑張る。いつまでも満足することはないかもしれませんが…」とまだまだ高みを目指すあくなき向上心で喜びを締めくくった。

 「無名の時から何も変わらないやさしい言葉を掛けてくれる」福田選手(予選敗退)からは「彼なら4勝も5勝もできる。技術を披露し、若い選手を引っ張っていってほしい」とエールが贈られた。次は前人未到の3連覇、4勝目。G杯の歴史が動く日も近そうだ。【近江康輔】

 ◆小澤剛(おざわ・つよし)1970年(昭45)6月24日生まれ、42歳。豊田市在住。自営業。アユ釣り歴25年。巴川遊鮎遊所属、ホームは矢作川、長良川。<2位・楠本選手の話>

 親子ドンブリをした時点で優勝は無理だと思った。シード権がとれるように考えて3位以内を目指した。来年は小澤選手の3連覇を阻止できるように頑張る。<3位・矢内選手>

 ポイントの見切りがうまくいかなかった。しっかりした流れを狙って動き回れば良かった。流れの緩い浅場の引き釣りをもっと練習して来年も優勝を目指します。