がまかつフィールドテスターの上村恭生選手(44=水藻フィッシングセンター)が念願の2度目の優勝を成し遂げた。「第34回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権」(主催・株式会社がまかつ)が10月21、22日に千葉・旭市の「長熊釣堀センター」で予選を勝ち抜いた46選手(シードを含む)が参加しヘラブナの総重量を競った。22日、午後1時からの決勝戦は6選手で戦い、得意とする短ザオのメーター釣り(エサ・セット)で上村選手が22キロを釣りあげ12年ぶりの栄冠に輝いた。2位は20キロで濱嶋勇選手(26=シード)、3位には18・4キロの鈴木則之選手(51=同)が入った。

 「速攻の釣りにこだわりG杯に挑み続けた」上村選手。すでに00年G杯(茨城・筑波白水湖)を制したが得意の速いアタリをとっていく釣りを封印しての優勝だった。それだけに「いつか自分の持ち味を出し切って優勝したい」という思いから再び頂点を目指した。

 だがなかなか勝てず近年は関東と関西の池事情も異なって釣りが難しくなり11年間で3位(02年)が1度だけ。予選落ちの年は大会審査員も務めるベテランとなるが「G杯を追う熱い気持ちが失せることはなく」自分の釣りを磨き続けた。

 そして今年、積み重ねた技量に加え条件、運も味方する最高の舞台で短ザオ、浅ダナの釣りが躍動した。釣れる魚のサイズに差はなく(30センチ前後)、得意のタナ(メーター)で魚が活発にエサを追い、「絶対的な自信を持つ」食わせと短ハリス、4号バリの相性も良くヘラが好反応を示した。

 予選で「ふわっとしたエサでタナになじませる」ヒントを得るや、準決勝からは「周りを一切気にせずにウキだけを見る」冷静な集中力を発揮し、見るものをひきつけるほどの釣りで次々にサオを絞り込んだ。

 人が減るにつれ、魚が増えると「連動するようにエサが合っていった」という言葉通り、ふわっとしたタッチを維持しながら、絶妙の締め加減で小さくバラケを開かせ、ヘラをしっかりとタナにキープしていく。

 決勝戦では残りクジで右端を引き当て、さらにペースを上げ開始約1時間で28匹を釣りあげ他を圧倒。その後は徐々に魚が上ずりだすがエサをていねいにつけて早いアタリを見送りながら我慢の釣りを展開。

 昨年の覇者・濱嶋選手が怒とうの追い上げをみせるが動じることなく2キロ差で逃げ切る完ぺきな速攻釣りをやり遂げた。会心のG杯を手にすると「納得の釣りで優勝できて最高。若いチャンピオンと戦うことができてうれしい」と話した。【近江康輔】【第34回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権】(1)上村恭生(44=水藻Fセンター)22.0キロ(2)濱嶋

 勇(26=シード)20.0キロ(3)鈴木則之(51=シード)18.4キロ(4)松本茂行(46=富里乃堰)18.2キロ(5)板平寛光(39=ひょうたん池)17.8キロ(6)鈴木千秋(52=水藻Fセンター)15.2キロ※左から順位、選手名、年齢、予選会場、重量。