<フィッシング・ルポ>

 「2013日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」磯&釣具店ブロック・メジナ部門の決勝大会が24日、南伊豆・石廊崎(静岡)で実施された。天候による順延があったものの昨年覇者のシード選手を含めて計22人が勢ぞろいし、なんと20人が30センチ以上の規定魚をゲットした。混戦の中、最後までテーマとした「深場」を貫いた山木隆男さん(49=入間市)が41・7センチ(1・22キロ)をキャッチして初優勝をもぎとった。

 過去にイサキ釣りで入った記憶しかない。くじ番号1番で指定された小島は、山木さんにとって得意といえるポイントではなかった。しかも、大根・小島向かいに入った2人の邪魔にならぬよう、潮通しのいい場所を捨てた。「やっぱりみんな気分よく釣りたいですからね」と山木さんは笑顔で答えた。ただ、それほどの心の余裕はなく、我慢の釣りで勝利を引き寄せた。

 朝から35センチ前後は釣れていた。サオ1本分(5~6メートル)のタナ(魚の泳層)で手応えがあった。「でも、勝負はもっと深場。今季は深場にこだわってきた」と山木さん。根掛かり覚悟でサオ2本半(12~13メートル)のタナを狙った。ウキは軽いG2を選び、5分以上かけて深場を探りまくった。

 狙い目は潮の流れと海水の動きのない境目だ。「40センチオーバーが潜むならそこしかないと辛抱強く待って、待って、待ち続けた」。午前10時30分ごろ、41・7センチをキャッチした。「夢のようです。まさか優勝できるとは思っていなかった」と山木さんは声を弾ませた。

 誰も攻略していない磯場に挑むのが好きで、今年1月3日、石廊崎「橋本屋」山本一人船長(40)に名前のないポイントに渡してもらった。45・3センチを釣り上げ「ヤマキバ」という自分の名前をつけてもらった。「バスから転向して6年。磯釣りは楽しいですねぇ」と山木さんは話す。山本船長も「いろんな釣り人を手本にしてる。熱心ですね。山木さんと一緒に私も勉強させていただいている。本当に良かった」と喜んだ。

 来年はシード選手。西伊豆・雲見の決勝大会に招待されるが、ポイントに入るのは最後の22番目になる。「連覇します…あっ、言っちゃた」と山木さんは明るく2連覇を宣言した。【寺沢卓】◆伊豆半島・メジナ決勝成績

 <1>41・7センチ(1・22キロ)山木隆男(49)石廊崎

 <2>40・2センチ(1・14キロ)井上茂樹(50)雲見

 <3>39・6センチ(1・10キロ)熊川武司(56)雲見

 <4>39・5センチ(1・10キロ)原田学(34)大瀬

 <5>39・0センチ(1キロ)梅林佳男(63)大瀬

 <6>38・8センチ(920グラム)高橋新吾(48)大瀬

 <7>38・3センチ(900グラム)大澤雄一(40)大瀬

 <8>37・8センチ(940グラム)金子洋児(47)石廊崎

 <9>36・4センチ(760グラム)佐藤穣(54)雲見

 <10>35・5センチ(840グラム)鈴木弘道(46)雲見※順位、全長(重量)、名前、年齢、選出地の順。選出地は、石廊崎「橋本屋」、大瀬「倉の下」、雲見「佐市丸」。